東京電力福島第1原発周辺の海底を東京大が調査したところ、くぼんだ所や河口付近で高濃度の放射性セシウム137が検出されたことが8月7日、分かりました。
海底の汚染状況にむらがあることは分かっていましたが、詳細が確認されたのは初めて。ブレア・ソーントン東大生産技術研究所特任准教授は「セシウムが粘土質に吸着し、海の流れが弱いくぼ地などにたまったのではないか」と分析、汚染対策を検討する際に役立つとしています。
研究チームは2012年8月~13年7月、測定装置を付けた船で第1原発付近を計400キロ航行し、海底の土の汚染度を測りました。
原発の沖合3・2キロの海底では、周囲の土の平均的なセシウム濃度が1キロ当たり約130ベクレルだったのに、くぼ地は平均で約1520ベクレル、最大で約2280ベクレルとなるなど、より汚染されている傾向がありました。
研究チームは、原発の北60キロにある阿武隈川の河口周辺も調査。河口から南東に数キロの海底で、平均1000ベクレル程度の汚染地点が2カ所あることを突き止めました。川からセシウムが流れ込んだ可能性があるといいます。
トリチウムの濃度が上昇・・福島第1の井戸
東京電力は8月7日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の海側に掘削した観測用井戸の一つの地下水から検出される放射性物質のトリチウム(3重水素)の濃度が上昇していると発表しました。
7月31日に採取した地下水に含まれるトリチウムは1リットル当たり2万8000ベクレルでしたが、今月5日に採取した水からは同5万6000ベクレル、6日に採取した水からは同4万5000ベクレルが検出されたといいます。
この井戸では、5日に採取した水が31日に採取した水に比べ、放射性セシウムの濃度が約15倍、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質(全ベータ)の濃度が約47倍に上がっています。
井戸は1号機と2号機のタービン建屋の間の海側に設置されている観測用井戸の中で、最も西側の1号機タービン建屋に近い位置にあります。