東京電力は8月24日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水タンクの漏えい問題で臨時会見を開き、漏えいしたタンクに事故歴があることを明らかにしました。当該タンクを含む3基のタンクが、当初は別のエリア(区画)に設置されていたものの、基礎のコンクリートが地盤沈下したため、いったん解体した後、現在のエリアに移設し再利用したものだと発表しました。
東電によると、タンクは2011年6月16日に「H1」と呼ばれるエリアに設置を開始。ところが翌7月19日、水張り試験中にコンクリートの基礎の一部が20センチメートルほど低下し傾きました。そのため3基を解体して、現在の「H4」エリアに移送し9月下旬にかけて設置。昨年7月31日に処理水で満水にして運用を開始しました。再利用したタンクに特別な点検をしておらず、地盤沈下の原因も分からないとしています。
東電は「地盤沈下によりタンクが支持されていない状況が一時期あった」としつつ、今回の汚染水漏えいとの因果関係は不明だとしています。
タンクは斜めになるといろんな所にひずみが出るため、不具合が出るような余計な力がかかったか評価したところ、「問題ない」と元請け会社から報告を受けたと説明しています。
3基のうち2基は、現時点で漏えいは確認されていませんが、東電は内部の汚染水を空タンクに移す計画。
一方、漏えいタンク内部を外観点検した写真を公表。大きな損傷は確認されなかったとしています。当該タンクの底部は、5分割した底板のフランジ部をボルトで締める構造です。
この問題では、23日に現地調査をした原子力規制委員会は、東電に対し、すべてのタンクで対策をとるよう求めています。
海への流出は 日量400トン推定・・東電が修正
東京電力は8月23日、福島第1原発の1~4号機建屋周囲を通って海に流れる地下水の総量の推定値について、従来の日量約600トンから同約400トンに修正しました。同日開かれた経済産業省の汚染水処理対策委員会に報告しました。
敷地の山側から流れ込んでくる地下水は、日量約400トンが建屋内に入り汚染水を増やしているほか、一部は地下トレンチ(ケーブルなどの配管用トンネル)内の高濃度汚染水に混じり、海へと流出しています。
東電は、新たに解析し直した結果、山側からの流入総量を従来の日量約1000トンから同約800トンに修正。建屋内への流入量は変わらないため、海への流出は同約400トンと推定しました。
高濃度汚染水の移送作業を完了・・2号機海側地下菅路
東京電力は8月24日、福島第1原発の2号機タービン建屋海側のトレンチ(ケーブルなどの地下管路)にたまっている210トンの高濃度汚染水を抜き取り、タービン建屋地下に移送する作業を完了したと発表しました。9月上旬までにセメントなどを流し込んでトレンチ内をふさぐ方針。移送した汚染水は、セシウムを除去した上で、貯蔵タンクで保管するといいます。
トレンチの汚染水は、海に流出している地下水の汚染源の一つ。移送した汚染水からは1リットル当たり23億5000万ベクレルのセシウムなど、高濃度の放射性物質が検出されました。他のトレンチにも大量の汚染水がたまっており、東電は抜き取り方法を検討しています。