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福島に生きる 愛される果実 情熱をもって・・ 果樹園経営 佐藤ゆきえさん(42)

安全・安心へ努力 JGAP認証を取得

福島市飯坂町の「まるせい果樹園」は、いま、モモの収穫の最盛期です。

6月のサクランボの出荷から始まり、他にリンゴ、ナシ、ブルーベリー、ブドウ、カキの計7品目を栽培する同果樹園社長、佐藤清一さん(43)とゆきえさん(42)夫妻は、職場で知り合って結婚しました。

モモのでき具合を見る佐藤ゆきえさん=福島市
モモのでき具合を見る佐藤ゆきえさん=福島市

一から学んで

サラリーマン家庭で育ったゆきえさん。農作業は初めての経験。持ち前の努力で一から学びました。今では、全国から観光客が訪れる観光農園の″広告塔″です。名刺に「看板嫁」と書きそえています。

佐藤さんの家は、米、養蚕、野菜から約70年前に、ナシ、リンゴなど果樹に転換。さらに、サクランボ、モモなどが加わり、東京ドーム1個半ほどの7・5ヘクタールの果樹園に。5年前から始めた草などを肥料にする緑肥を目的にして植えたヒマワリは、1・5ヘクタールに2万5000本が咲き誇る「ヒマワリ果樹園」として発展し、「花も実も一望できる農園」として広く知られるようになりました。

ところが、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が起きた2011年。「年間8000人から1万人あった観光客はほとんど来ません」でした。「おいしいけど贈答用にはちょっと」と、長年の常連客が一時離れていきました。

「果物王国の福島で復興・再生するためには、ここでくじけているわけにはいかない」。佐藤夫妻と農園スタッフは原発事故による風評被害とたたかう覚悟を固めました。

消費者に手紙

徹底した除染、栽培記録の保存と公表、最小限の農薬使用と検査、水質検査、農産物のサンプル検査など120項目を超えるチェック表に基づいて安全・安心の果樹作りに努めました。首都圏などで開かれる復興イベントに毎週出かけ「検査証明による広告塔」に徹しました。

11年5月、福島と全国の絆づくり、風化対策、観光対策など、さまざまな思いがこめられたひまわり里親プロジェクトにも協力。「長く観賞できるように」と、ヒマワリを植える時期を3回にずらしています。

こうした努力が実を結び、今年、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられるJGAP(日本GAP協会)の認証を取得できました。「6000人の観光客にもどすことも視野に入りつつある」までに。

JGAPの認証を受け、まるせい果樹園は、消費者に手紙を出しました。

「震災以降、不安定な状況の中での福島の農業ですが、自倍をもって、おいしく安全な果実を作っていることを誇りに思える認証を獲得しました」「愛する福島で、皆様に愛される果実を続けるために情熱を持って努力し続けていく覚悟です」 (菅野尚夫)

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