日本科学者会議の集い「福島原発事故・災害―2年半後の現実と打開の展望」は2日目の8月25日、福島大学で2分科会が開かれ、同会議茨城支部の青柳長紀氏が、7月施行された原子力規制委員会の新規制基準について報告しました。
青柳氏は前提問題として、福島第1原発事故を受けて原子炉立地審査指針の改正が必要なのに、新基準はその見直しをせずに、従来の基準に新たな過酷事故対策、地震・津波対策を追加しただけになっていて、原発再稼働先にありきだと批判しました。
具体的な新基準の問題点として、青柳氏は▽新基準が要求する審査事項は実証試験で証明ができないものが多く、コンピューターを使って試算をするにとどまり安全性の保障にならない▽水素爆発防止策としてフィルター付き排気口からセシウム137で100テラベクレルまでの放出を容認している▽過酷事故を招く技術的に未熟な軽水炉そのものの改善に手をつけず、事故前提の代替電源・第2制御室などを備えた特定安全施設頼みになっている―などを指摘しました。
討論では、原子力規制委員会は軽水炉の本質的評価をすべきだ、使用済み核燃料をどうするのか、崩壊熱を使った電源不要の冷却装置の可能性はどこまであるのかなど活発な意見交換がされました。