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トルコ・UAEとの原子力協定 反対世論も地震の危険も無視 ・・首相が“安全神話”も輸出

トルコとアラブ首長国連邦(UAE)への原発輸出に道を開く原子力協定が18日に国会で承認されました。両協定の締結は昨年4~5月の安倍晋三首相によるトップセールスで実現したもの。輸出先トルコは原発反対世論が渦巻く「地震大国」。危険無視の輸出姿勢は、さながら日本製「安全神話」の海外展開です。 (池田晋)



14-04-24toruko「天国が地獄に」
「住民はおおむね支持している。反対は限定的だ」(岸田文雄外相)。原発輸出・建設先のトルコ・シノップ市の状況について、国会審議で繰り返した政府の説明です。

しかし、トルコの大手世論調査によると原発建設反対は63・4%(2013年4月)。福島第1原発事故直後の反対は8割に達しました。

シノップ市の現市長(バーキ・エルグル氏)は原発反対を掲げて09年に当選。最近も有力紙上で「原発は不要だ。シノップは天国のような町だが、それを壊して地獄をつくろうとしている」(3月)と態度を明確にしています。現地では反対デモが繰り返され、1月には最大都市イスタンブールの日本領事館前でも取り組まれました。

政府は何をもってトルコ世論を把握したと言っているのか。追及した日本共産党の井上哲士参院議員に岸田文雄外相は「トルコ政府幹部や国会議員から情報が寄せられている」と述べ、推進派の情報しか根拠にしていないことを認めました。

「地震国」トルコ

識者から懸念されているのが地震の危険。

トルコは日本と同様、四つのプレート境界上に位置する地震多発国です。過去半世紀間だけでも死者1000人以上の地震が7回起きています。政府は、シノップとその周辺地域で1900年以降にマグニチュード5以上の地震がないことなどを根拠に、「日本と比較してもリスクは低い」(外相)と問題視しない姿勢に終始しています。

地元意見の軽視、リスク評価の甘さなど、「安全神話」への反省をみじんも感じさせない政府の姿勢に、唯一の参考人質疑となった4月15日の参院委員会で批判が相次ぎました。

NGO「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝理事は、地震のリスクについて「たった100年で考えるのがまずおかしい」と指摘。舩橋晴俊・法政大教授も、日本でも脱原発が望まれ、輸出反対が賛成の2倍以上との世論調査の結果をあげ、「政府の政策は民意とかけ離れている」と批判しました。

業界の声を代弁した日本原子力産業協会の服部拓也理事長は、安倍政権のトップセールスを評価しつつ、「決して満足しているわけでなく…省庁の協力をより強める必要がある」と注文しました。

今後問題になるのが、原発関連機器を輸出する際の「安全確認」体制です。福島第1原発事故以前は経産省の所管。田辺理事は、同省が引き続き担当することになれば「推進と規制の分離が図れない」と問題視します。

「安全確認」体制も整わず、民意も事故のリスクも無視して他国に売り込む姿は暴走そのものです。

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