東京電力福島第1原発の放射能汚染水対策を検討する原子力規制委員会の作業部会が8月30日開かれました。担当の更田(ふけた)豊志委員は、汚染水の発生量を長期的に抑制するため、原子炉への注水量を減らす検討を始める方針を明らかにしました。
2011年3月の事故から約2年半が経過し、原子炉内で溶けた核燃料が発する熱は下がっており、冷却のため注入する水の量を減らす余地があるといいます。空冷装置の併用も検討するとしています。
1~3号機では11年6月から、注入した水が核燃料に触れて生じた高濃度汚染水を水処理施設で放射性セシウムや塩分を取り除いて、再び注入する「循環注水冷却」を行っています。高濃度汚染水は原子炉建屋とタービン建屋の地下に流れ、第1原発の山側から日量400トン流入する地下水と混ざってたまっています。
現在1日計360トンの注水を減らせば、高濃度汚染水の発生量も減ります。
部会に出席した東電幹部は「注水量をあまり減らすと溶融燃料への水の掛かり方が変わり、冷却が不安定になる心配があるが、注水は絞れるだけ絞りたい」と説明。更田委員は「いきなり空冷は無理だが、(原子炉温度などを)監視しながら慎重に注水量を減らす準備を進めたい」と述べました。