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タンク群最大1800ミリシーベルト・・福島第1 汚染水危機さらに/全責任を負い政府は対策を

新たに高い放射線量が検出された東電福島第1原発の汚染水タンクエリア
新たに高い放射線量が検出された東電福島第1原発の汚染水タンクエリア

東京電力福島第1原発で高濃度の放射能汚染水を保管しているタンクから300トンが漏れた問題で、東電は8月31日、同原発敷地内の同型タンク群4ヵ所で高線量を確認したと発表しました。このうち2ヵ所についてはこれまでに高い線量が確認されていた場所ですが、さらに値が上昇し、最大毎時約1800ミリシーベルトでした。この値は、4時間浴び続ければ死亡する線量に当たります。残りの2ヵ所は今回新たに判明したもの。東電担当者は「4ヵ所とも汚染水が漏れている可能性は否定できない」としています。汚染水をめぐる状況は危機的状況です。

配管から新たな漏れも

その後、新たに判明した2ヵ所のうち、「H5エリア(区画)」では、2基のタンク間をつなぐ配管から90秒に1回、汚染水が滴下していることが確認され、配管内には約60リットルの汚染水がたまっているとみられています。

4ヵ所のタンクは、いずれも鋼板を連結し、接合部にゴム製のパッキンを使った「フランジ型」。同原発内にある同型約350基の安全性に対する懸念がさらに高まっています。

東電によると、4ヵ所はいずれも31日の巡回中確認しました。22日に既に高線量が確認されたタンク2基では、底にある接合部で値が急上昇。毎時約100ミリシーベルトだったタンクでは同1800ミリシーベルトに、同約70ミリシーベルトだったタンクでも同約220ミリシーベルトに上がりました。

この2基はいずれも同じ「H3エリア」にあるタンク。新たに線量の高い場所が見つかったのは、「H5エリア」のタンクと、300トンの高濃度汚染水が漏れたタンクと同じ「H4エリア」の別のグループのタンクで、それぞれ毎時約230ミリシーベルトと同約70ミリシーベルトでした。

東電は27日から、同型タンクで空間放射線量を測定。毎時約230ミリシーベルトを確認した箇所では、パトロール中の作業員がタンクを連結する配管の保温材を押したところ、水滴が地面に垂れたといいます。保温材を取り外したところ、配管とタンクの継ぎ目から90秒に1回滴下していることが確認されました。

東電は関係するタンクの水位の低下は見られないと説明。原子力規制庁も「汚染水漏れの兆候を示す重大な事実と考えている」と話すものの、現時点で別のタンクヘ移送するよう東電に指示はしていません。

全責任を負い政府は対策を

東京電力福島第1原発敷地内の4カ所のタンクから高い放射線量が検出されました。

いずれも「フランジ型」で、300トンの汚染水が漏れたタンクと同型です。過去に4回の漏えい事故を起こしています。底面も5枚の鋼板を内側からボルトでつないでおり、いったん汚染水が漏れ出したら防げない構造であることを東電も認めています。しかし、工期が短いことを理由に、「フランジ型」タンクを造り続けています。

しかも水位計をタンク5、6基に一つしか設置していないなど東電の管理体制のずさんさも明らかになっています。

タンクに保管されているのは、ストロンチウム90などを含む高濃度の放射能汚染水です。タンクから300トンが漏れ、そばの排水溝を通じて、外洋に達した可能性が高いとみられています。

すでに汚染された地下水が海に流出し続け、これを完全に止める見通しもありません。

放射能汚染の拡大を防ぐため、タンク保管のあり方を含め、これ以上東電任せにしないことです。政府は非常事態との認識のもと、全責任を負う立場で、事故対策を抜本的にあらためて、ことに当たることが急がれます。

(三木利博)

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