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解除準備区域 年3ミリシーベルト・・内閣府 帰還後の個人被ばく推定/公表遅れ、不信の声・・首長「住民判断に影響」

東京電力福島第1原発事故で、内閣府の被災者支援チームは4月18日、原発周辺の避難指示区域に住民が帰還した場合の年間の個人被ばく量の推定値を公表しました。職業など生活パターンを加味した推定では、放射線量が比較的低い避難指示解除準備区域でも、最高で年3ミリシーベルトに達する例がありました。

調査は、支援チームから委託を受けた放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構が昨年(2013年)8~9月に福島県田村市都路(みやこじ)地区、川内村、飯舘村の3地域にある居住制限区域と避難指示解除準備区域で5生活パターン、30例で調査しました。

その結果、山林などに入る時間が長い林業が最も被ばく量が多く、放射線がある程度遮られる屋内などで過ごす教職員や事務職員は少なくなりました。

生活パターンと地域を組み合わせた個人被ばく量推定では、居住制限区域で林業に従事する場合が最も高く、年17ミリシーベルトでした。避難指示解除準備区域で農業を営む場合は最高で年3ミリシーベルト、居住制限がない地域の木造家屋で暮らす高齢者で年1ミリシーベルトを超える例もありました。

30例の中で、原子力規制委員会が昨年(2013年)11月に帰還の前提として示した年20ミリシーベルトを超えた例はありませんでしたが、長期目標の年1ミリシーベルトを下回ったのは5例だけでした。

 

公表遅れ 不信の声・・福島 首長「住民判断に影響」

内閣府の被災者支援チームは、個人被ばく線量推定値の中間報告を昨年10月に委託先から受け取っていましたが、半年間公表してきませんでした。調査対象となった福島県の田村市、川内村、飯舘村では不信感が高まっています。

内閣府の担当者は「分析作業が終わっていない段階だった。情報を隠したわけではない」と説明しています。

今月1日に避難指示が解除された田村市都路地区の林業従事者の年間被ばく量は、推定値で2ミリシーベルトを超えました。同地区の農業・坪井幸一さん(65)は「(避難指示解除の)協議の前に公表されていれば、住民は解除に反対したと思う。解除は取り消してほしい」と話します。

川内村は早ければ今夏の避難指示解除を目指しています。遠藤雄幸村長は「推定値をすぐに示さなければ、(隠そうとしたと)勘ぐられても仕方ない。住民の判断にも影響が出てくる」と解除の遅れを批判しました。

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