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“福島に生きる” それでも農業を続ける・・産直組合郡山代表理事 橋本整一さん(74)

牛の世話をする橋本整一さん
牛の世話をする橋本整一さん

「これほど悪いことをして責任をとらない。こんな理不尽なことはない」。福島県郡山市の産直組合郡山の代表理事を務める橋本整一さん(74)は怒り心頭です。

生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟(中島孝原告団長)の原告の一人、橋本さん。3月25日、福島地裁で開かれた第5回口頭弁論の進行を原告団席から見守りました。

たたかい続ける

被告の東京電力は「原状回復は技術的にも金銭的にもできない」「年間20ミリシーベルト以下の放射線を受けたとしても何らそれらの人々の法的権利を侵害したことにはならない」と加害企業としての自覚も責任もない無責任な主張を繰り返しました。

裁判長が事実解明へ積極的に被告に質問するなど「分かりやすい審理だった」と傍聴した感想を話しました。

「死ぬまでたたかいぬく」ことを心に刻みました。

約40年前に食肉センターの建設が持ち上がったとき、住民との合意もなく、水源地に近いため反対運動が広がりました。中心となった一人が橋本さんでした。「みんなの要求で運動すれば支持されてできる」というのが、そのときの教訓です。

地域の仲間十数人と生業訴訟の原告になりました。

第5回口頭弁論の東電とのやり取りを聞いていて「俺らが正しい」ことを確信できたのです。

3年前の福島第1原発が爆発したとき、孫娘の通う高校の校庭の放射線量は高い数値でした。ネット上に流れた「福島の女性とは結婚しないほうがいい」といった心ない中傷に東電への怒りが込み上げました。

3町歩(約3ヘクタール)のコメを作る橋本さん。「年間600万円の収入はあったのが半分に減った」と原発事故のもたらした影響に翻弄(ほんろう)されています。

それでも農業を続けるのは環境を守る水田の果たしている役割を大切にしたいからです。水田は、小さなダムであり、地下水をつくり、稲の光合成によって空気をきれいにします。水田にはたくさんの生き物が生きています。そこに放射能をまき散らしたのが原発事故です。

「危険だということが頭にあって原発建設には反対でした。本当にこんなことになって驚いています。東京電力との直接交渉のとき、牛乳を持っていって飲んでみるように迫りました」。

再生エネの宝庫

再生可能なエネルギーに転換させるために市民とともに共同出資して300キロワット時、250キロワット時、200キロワット時の太陽光発電所の建設を進めています。

「百姓がみずからやることが大事。ここは再生可能なエネルギーの宝庫。やればできることを示したい」

太陽光発電所は7月には稼働する計画です。
(菅野尚夫)

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