日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 汚染水「コントロールされている」・・安倍首相が招致演説 IOC総会/東電が政府に問い合わせ/官房長官が事実上訂正

汚染水「コントロールされている」・・安倍首相が招致演説 IOC総会/東電が政府に問い合わせ/官房長官が事実上訂正

安倍晋三首相が9月7日夜、アルゼンチン・ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で行った東京への招致演説のなかで、東京電力福島第1原発事故の放射性物質汚染水漏れについて、「状況はコントロールされている」とのべました。

これに対し、IOC委員からは、「総理は、東京には影響がないといったが、その根拠は何か。どうして、そんなに安心できるのか。専門的技術的観点からお願いします」との質問が出されました。

首相は、「汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされています」と表明。さらに「健康問題については、いままでも、現在も、将来もまったく問題ないということをお約束します。さらに完全に問題ないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手しています。実行していくことをはっきりお約束申し上げたい」とのべました。

 

首相発言 東電が政府に問い合わせ・・「海水の行き来はゼロにはならない」

東京電力は9月9日、国際オリンピック委員会の総会で安倍首相が、福島第1原発の汚染水問題に関連し「状況はコントロールされている」などと発言したことについて、同社の認識と同じかどうか、政府に問い合わせたことを明らかにしました。

今泉典之・原子力・立地本部長代理は、安倍首相が同総会で「汚染水による影響は港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」などと発言したことについて、「私どもとして(首相の)お考えが同じかどうか確認した」と述べました。その上で、今泉氏は、港湾内外の測定データから「港湾外への影響は少ないと考えている」としました。

港湾内に設置したシルトフェンス(水中カーテン)の効果についても「抑制効果はある」としながら、「完全に海水の行き来がゼロになるかというと、そうは思っていない」と述べました。

また、地上タンクから大量に漏れた高濃度の汚染水についても、排水溝を通じて「海に出た可能性は否定できない」との考えを改めて表明しました。

首相IOC発言 福島第1「水は当然、行き来」・・官房長官が事実上訂正

菅義偉官房長官は10日の記者会見で、安倍晋三首相が国際オリンピック委員会総会でのプレゼンテーションで「汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」と述べた問題について問われ、「水は当然、(港湾内と外洋との間を)行き来している」と認め、首相発言を事実上訂正しました。

オリンピック・パラリンピックの開催都市を決める場での日本の首相による虚偽説明は、今後国際的に問われる重大問題です。

菅長官は会見で、安倍首相と同様、同港湾内外の水の放射性物質の検査結果が国際基準を下回っていると強調しました。しかし、港湾内の水は海流や潮の干満の差でつねに出入りしており、東電推計でも、港湾内の水の約50%が1日で外洋の水と入れ替わっています。

東電もシルトフェンス(水中カーテン)では放射性物質の流出を防ぐことができないことを9日の会見で認めましたが、菅長官も「(放射性物質が)できるだけ外に出ないようにしている」などの言い訳に終始しました。

3月には、同港湾内で捕獲された魚の一種・アイナメから1キロ当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出。8月には東電が、地下水から港湾内に流れ出た高濃度汚染水中のストロンチウム90は最大約10兆ベクレル、セシウム137は20兆ベクレルに上るとの推計を発表しています。それでも、港湾内の測定値が「大幅に基準値以下、あるいは検出できないぐらい少ない」(菅長官)というのは、逆にほとんどが外洋に流出したことを物語っています。(林信誠)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です