環境省は9月10日、東京電力福島第1原発事故に伴い住民が避難している福島県の11市町村のうち、7市町村で国直轄の除染事業を延長すると発表しました。
従来の計画で完了目標としていた今年度末に作業が終わらないためで、見直し後の計画では完了時期の明示は先送りしました。同省は年内をめどに各市町村と協議して時期を決めたい方針です。
7市町村は、南相馬市と川俣、浪江、富岡、双葉4町、飯舘、葛尾2村。いずれの自治体も汚染土の仮置き箱の確保や、全国に避難している住民から作業着手の同意を得るのに時聞かかかり、予定が大幅に遅れていました。今年度内に除染を終える計画だったのは、三つに区分された避難指示区域のうち、「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」で、「帰還困難区域」は対象外。
6月に除染が終わった田村市と、今年度中に完了する見通しの楢葉、大熊2町と川内村については、線量がどの程度下がったのか確認します。放射性物質の取り残しや、再び線量が上昇した地点が見つかった場合は再除染を認めます。
除染計画不満「復興に支障」・・地元自治体
環境省が10日公表した見直し後の除染計画で、国直轄の除染対象としている東京電力福島第1原発周辺11市町村のうち7市町村の除染完了時期が先送りされたことに対し、首長からは「復興に支障が出てくる」などと不満の声が上がりました。
現在も全町避難を余儀なくされている福島県浪江町では、環境省の当初の計画に基づき2017年4月から順次住民が帰還できるよう準備を進めていました。除染完了のめどが立たなくなったことで馬場有町長は「町が策定した復興計画にも支障が出てくる。(国は)責任感を持って進めてもらいたい」と憤りを隠しませんでした。飯舘村の菅野典雄村長は「評価に値しない」と計画の内容を厳しく批判しました。