関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)で、九日、タービン建屋内で高温高圧の二次冷却水が噴出し、作業員四人が死亡、七人が負傷する大きな惨事が起きました。
日本原発史上で最多の死傷者を出す深刻な事故です。
国と関西電力が安全確保の責任を十分に果たしたのか、厳しく問われなければなりません。
日本原発史上最悪の事故
何よりも求められるのは、事故原因の徹底究明です。関西電力は、腐食や摩耗で配管が薄くなっていた可能性があるとしています。同様の事故は米サリー原発でも起こっており(一九八六年、死者四人)、これを受けて、国内でも自主検査をしてきたとされています。
しかし、関西電力は、破裂した個所を、「管理システムに登録」していなかったため、一度も点検しておらず、昨年十一月に下請け会社から検査登録リスト漏れを指摘されていたのに、すぐ対応しませんでした。今年七月には、関電大飯原発1号機で二次冷却系の配管の厚さが基準を下回っていたにもかかわらず、国への報告を怠っていたことも判明しました。
二次冷却系は放射能漏れに直結しないという理由で、法的な定期検査の対象外とされています。
原発稼働中のタービン建屋への出入りの安全基準がないことも、日本共産党国会議員団の調査で明らかになりました。 安全管理の甘さはなかったのか、事業者任せで安全確保ができるのか、関西電力と国の責任は重大です。
今回の事故は二次冷却系配管であり放射能漏れは確認されていませんが、原子力施設で起こった事故として、決して軽視できません。
事故機は運転開始から二十八年たった老朽原発であり、同様のことが、炉心の核燃料を直接冷やす一次冷却系の配管でも起こっていないとは限らないからです。また、事故の状況によっては、原子炉本体に影響を及ぼしうるものです。
原子力発電所の配管関係の事故は珍しいものではありません。美浜原発(加圧水型)でも、二〇〇一年二月に2号機で蒸気発生器細管が破談、〇二年十一月に3号機で一次冷却水漏れがありました。〇一年十一月の中部電力浜岡原発1号機(沸騰水型)の配管破断事故も記憶に新しいところです。
加圧水型であれ沸騰水型であれ、原発には無数の配管があります。高温高圧の水や蒸気により、あるいは放射線により、配管は腐食、摩耗、劣化していきます。美浜原発のように七〇年代に運転開始した原発は二十基あります。こうした老朽原発をはじめ、全国すべての原発の総点険を行うことは急務です。
安全第一の原子力行政を
原子力行政への国民の不安と不信が広がっています。一九九九年には、国内初の犠牲者を出し周辺住民にも被害を及ぼしたJCO臨界事故が起こりました。二〇〇二年には東東電力による原発損傷隠しが、さるに今年は、国と事業者による使用済核燃料直接処分費用の試算隠しが発覚しました。
また、住民の不安や反対の声にもかかわらず、原発の危険を増大させるプルサーマル計画を強行しようとしています。
このような、国民の安全を軽視する原発推進は許されません。原発の「安全神話」を一掃し、安全確保第一の原子力行政に転換するために、日本共産党は全力を挙げます。