日本共産党嶺南地区委員会 > 美浜3号事故 > 17年前、米国で同様事故・・政府は「日本では起こり得ない」と結論‥教訓生かされず

17年前、米国で同様事故・・政府は「日本では起こり得ない」と結論‥教訓生かされず

関西電力・美浜原発3号機事故は、運転開始から二十八年間にわたって「精密点検してこなかった」という大口径配管で発生しました。しかし、米国で十七年前に同じ配管破裂で死傷事故が発生したのに、国は「日本では起こり得ない」という報告書をまとめ、十分な安全対策をとらずにきました。

宇野龍彦記者

 美浜原発3号機と同じ配管で破裂事故を起こしたのは、米国バージニア州のサリー原発2号機(加圧水型、出力八十一万五千キロワット)。一九八六年十二月九日、タービン建屋内の大口怪配管(直径約四十六センチ)が一気に破断し高温水が蒸気となって噴出しました。付近にいた八人が蒸気を浴びて火傷を負い、四人が死亡しました。

運転開始13年で破裂

破裂した配管は、運転開始から十三年経過していましたが、想定以上に配管の厚みが減っていました。

サリー原発と同型の原発は、日本でも三菱重工が委託製造していました。原子力安全保安院によると、サリー原発事故後、国内七つの原発で同じ配管の肉厚検査がおこなわれ、異常はみつからなかったとされました。

大口径配管の肉厚検査が定期的に必要一一この事故は、原子力関係者に大きな衝撃を与えました。しかし、通産省(当時)は八七年三月十二日、サリー原発事故の報告書をまとめ、「日本では起こり得ない」と結論づけました。その理由は、大口径配管が破裂する前に、小さな水漏れがこるので発見できるからと、しました。

サリー原発事故は、国の原発安全対策の教訓とはされませんでした。

タービンを回した後の冷却水を原子炉の蒸気発生器に戻す二次系の大口径配管。その厚みが予想以上にすり減ることが、今回の事故でも明らかになりました。

全国の加圧水型原発では、サリー原発事故後、老朽化や劣化を調べるため一九九〇年六月から、二次系配管の厚さを計画的に測定するという自主点検をはじめました。関西電力大飯原発1号機でも昨年七月に行った自主点検で、配管の厚さが国の基準以下になっていることがわかり、ことし七月に配管交換を発表しました。しかし、美浜原発3号機では、その点検が十四日から行う予定の定期検査まで放置されていました。

点検期間を短縮

原子力安全白書(一九九八年)は原発の老朽化の危険をとりあげ、「早期に機器等の劣化現象を発見する」ことと「予防保全」が重要だとしました。ところが、これと逆行する定期検査期間の短縮が国と電力会社一体で進められてきました。

中部電力は浜岡原発4号機の第六回定期検査(二〇〇一年度)で「二十九日定検を達成した」と誇っています(日本原子力学会誌)。
その動機として「競争原理の導入」や「経営効率化」をあげています。

原発関係者によると、以前は原発を止めてから現場に入って作業を行い、「百日検査」といわれるほどの日数をかけていました。ところが、定期検査期間短縮の結果、原発が動いているときから作業を行うようになったといいます。こうした「利益最優先」で原発の点検作業が行われていたことが、多数の死傷者を出す事故につながりました。

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