関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出死傷事故で、経済産業省原子力安全・保安院は十日、損傷した二次系配管個所について、大きな圧力が掛かって引き伸ばされ、限界を超えて破損する「延性割れ」との見方を示しました。さらに原因調査を進めるとともに、保守管理体制に問題があった可能性があるとして、関電に対し、立ち入り検査する方針です。
破損した配管について、保安院の山下弘二首席統括安全審査官は「開いて伸びている」と指摘。 配管の内側が、長期にわたる使用を通じ、高温高圧の水流によって削られ、薄くなり、水流の内圧に耐えられなくなって延性割れを起こしたとの見解を明らかにしました。 保安院は今後、金属の厚みが磨耗で薄くなる減肉を関電がどのように管理していたかなどを調査。保守点検を請け負った三菱重工(東京都港区)と「日本アーム」(大阪市北区)に対しても説明を求め、原因究明を進めます。
同審査官はまた、関電に対し「しかるべきタイミングで立ち入り検査を行う」としています。
破損配管が長期間検査対象から漏れていたことについては、「関電の(配管の〉保守管理は不適切」と批判しました。
検査漏れ重視、立件も視野に・・福井県警
福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出死傷事故で、県警敦賀署捜査本部は十一日も現場検証を行い、配管破 損状況について調べるとともに、関係者らから事情を聴きました。同本部は、破損部分が検査対象リストから漏れ、関電が点検委託会社の指摘を受けるまで十三年間気付かなかった点を重視。保守管理体制に問題があった可能性があるとみて、業務上過失致死傷容疑での立件も視野に捜査を進めるといいます。
破損した配管部分をめぐっては、点検の主要個所でありながら、プラントメーカーの三菱重工業の対象リストから抜け落ち、その後、同社から説明を受けた点検委託会社「日本アーム」が、迅速に関電に報告せず、関電側が昨年十一月になって初めて指摘を受けたとしていることなどが分かっています。
漏れた蒸気800トン
美浜原子力発電所の蒸気噴出事故で、関西電力は十日、配管が破損して噴出した二次冷却水が約八百トンに達していたことを明らかにしました。三十~四十分間にわたり流れ出たとみられるといいます。ニ次冷却水はすべてで千百トンが循環していました。