経済産業省はエネルギー対策特別会計に7183億円(24年度当初予算比359億円減)、GX(グリーントランスフォーメーション)推進対策費に6839億円(同410億円増)を計上しました。石破茂政権が推進する原発・火発依存など、世界的な気候危機に逆行する政策が並びます。
再稼働に誘導も
原発立地自治体への「電源立地地域対策交付金」は777億円と、24年度から17億円を積み増しました。同交付金の増額は3年連続。原発の再稼働や新増設に自治体を誘導しようという、政府の原発偏重の姿勢が表れています。
原発の一種である高速炉、高温ガス炉それぞれの実証炉開発など次世代革新炉の技術開発・産業基盤強化支援に889億円。24年度比で実に1・6倍の拡充です。
政府は脱炭素の「切り札」として二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する技術(CCS)の事業化を促進。国連の報告書では、CCSはCO2削減策としては非常に高コストで可能性が低いと指摘されていますが、先進的CCS支援や貯留適地調査に17億円(24年度比5億円増)をつぎ込みます。
アンモニアや水素を活用して作る次世代燃料の生産・技術開発などの事業には、新規で84億円を計上。脱炭素を口実とした石炭火力の延命にも拍車をかけています。
再生可能エネルギー関連は、大型蓄電池等の導入支援に150億円(24年度比65億円増)、洋上風力導入支援に91億円(同26億円増)。太陽光の大量導入に向けた技術開発の予算は、24年度と同額の32億円にとどまりました。
政府全体の中小企業対策費は1695億円。24年度比で約1億円増にすぎません。昨年の国会では、改定産業競争力強化法が成立。自公政権は900社程度の特定中堅企業への集中支援を進め、大多数の中小・小規模事業者の淘汰(とうた)を促進させる事態が懸念されます。
対策見込めない
中小企業の価格転嫁対策のための「中小企業取引対策事業」に計上したのは、24年度比1億円増の29億円。取引適正化へ下請法の厳正な執行をうたいますが、強力な権限を持つ専任の下請代金検査官の増員はなく、抜本的な対策が見込めない規模です。
企業の買収・合併(M&A)を支援する「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」には144億円(24年度比2億円減)。経産省側は、高齢経営者の割合が漸減したとしてM&A推進に「一定の進展がみられる」と誇りますが、悪質な仲介業者がはびこる現状で、法的規制などのルール整備こそ求められます。
地域の中小業者の後継者支援を重視した「後継者支援ネットワーク事業」は4億円と、24年度比で0・4億円減少しました。中小・小規模事業者の賃上げを支援する「業務改善助成金」は15億円(24年度比8・2億円増)。賃上げと一体の設備投資が支給要件のため、制度の使いにくさが課題となっています。
(つづく)
(「しんぶん赤旗」2025年2月4日より転載)