国の気候変動対策やエネルギー政策にかかわる三つの文書について、国民の意見を今月26日まで募集しています。「地球温暖化対策計画」、「エネルギー基本計画」、これと一体的に遂行する「GX2040ビジョン」の三つの案です▼原発をどうしようとしているのか―。政府自身が現行の基本計画で明記している「可能な限り原発依存度を低減する」の文言をなくしました。経団連や業界団体が繰り返し求めていたものです▼先日あった市民団体の集会でも経済産業省が答えました。「低減」の文言があるために「原子力産業への学生の参入の妨げになり、原子力サプライチェーン(供給網)を構成する企業の撤退を促しかねない」からだと。原発産業擁護の姿勢が鮮明です▼「低減」の替わりに打ち出したのが「最大限活用」です。15年後の40年度の電源構成では原子力の目標を2割程度としました。稼働基数にして30基程度。現在の2倍以上に増やすことに、専門家からも過大な設定で「非現実的だ」との指摘が▼原発を増やせば再生可能エネルギーがそれだけ抑制されかねません。政府は原発も「脱炭素電源」とし、その周辺地域に、人工知能(AI)やコンピューターサーバーなどを備えたデータセンターなどの立地を誘導すると▼まだ多くの人がふるさとに帰ることもできず、東京電力福島第1原発事故が収束していないのに、です。基本計画には原子力について「国民の懸念の解消に全力を挙げる」と。ならば、原発を廃止するのが筋では。
(「しんぶん赤旗」2025年1月18日より転載)