東京電力は7日、福島第1原発事故で溶け落ちた2号機の核燃料デブリの試験的取り出し作業を完了したと発表しました。格納容器内からデブリを回収したのは2011年の事故から13年半以上たって初めて。今後、回収したデブリは茨城県にある日本原子力研究開発機構などの研究施設に輸送し、硬さや成分を分析します。
この日午前、回収した5ミリ大のデブリを専用のコンテナに収納。東電はこの時点を取り出しの「完了」と位置づけています。今後、原子炉建屋内に設置した設備に運んで重さなどを測定してから、搬出します。
試験的取り出し作業は8月に装置を押し出すパイプの順番の間違いが発覚し中断。9月10日に再開したものの装置に取り付けたカメラの不具合で再中断。同30日に「テレスコ」式と呼ばれる釣りざお状の装置で格納容器底部からデブリを採取し、今月2日に格納容器外に移動していました。
当初、作業は21年に実施する予定でしたが、装置の開発などで約3年遅れました。
同原発1~3号機には、事故で溶け落ちた核燃料と炉内の構造物が混ざり合って固まったデブリが計880トンあると推定されています。政府と東電が策定した工程表によると、廃炉完了を51年としています。
(「しんぶん赤旗」2024年11月8日より転載)