「原発をゼロに」は、東京電力福島第1原発事故を経験した多くの国民の願いです。自民党も事故後「可能な限り原発依存度を低減する」としました。
ところが岸田文雄前首相は2022年の参院選後、原発を「最大限活用する」へと「回帰」しました。
今回の選挙公約も、前回の衆院選(21年)まであった「可能な限り原発依存度を低減」という表現を削除し、原発を「最大限活用」とし、「次世代革新炉の開発・建設」も打ち出しました。
■新増設求める財界
背景には財界の要求があります。日本経済団体連合会(経団連)が企業に献金を呼びかける際の指針とする“政党通信簿”(「主要政党の政策評価」)では、自民党を「高く評価」した上で、課題として「原子力の最大限活用」をあげています。
15日に出した提言では原発の再稼働、新増設などを急いで始めるよう要求しました。自民党の公約は財界の意向そのものです。
エネルギー政策を考えるうえで、気候危機の打開は喫緊の全人類的課題です。日本でも、猛暑や能登の大水害のような自然災害が頻発し、農業や水産業にも大きな被害を与えています。
国連は先進国に対して30年までに二酸化炭素を大量に排出する石炭火力発電の段階的廃止を繰り返し求めています。しかし日本はG7(主要7カ国)で唯一、石炭火力からの撤退期限を示していません。
■立ち遅れる日本
同時に再生可能エネルギーは大きく立ち遅れています。環境省の調査でも再エネの潜在量は現在の電力使用量の7倍にもなります。
ところが、日本の電力のうち再エネによる電力は24%です。イギリスの46%、ドイツの52%、カナダの66%などから大きく水をあけられています。自民党政治では、どんどん世界から取り残されてしまいます。
大手電力会社は「電力が余る」といって再エネ電力の受け入れを抑制しています。石炭火力と原発を維持するためです。
そのために捨てられている再エネは、58万世帯分の年間消費量に匹敵し、家庭の電気料金では750億円分にのぼります。再エネの優先利用の原則を確立するべきです。
日本共産党は、「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」で、30年度までに省エネと再エネを抜本的に強化して二酸化炭素を50~60%削減する提案をしています。
▽速やかに原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、30年度に原発と石炭火力の発電量をゼロにする▽大手電力会社が再エネ電力の導入にブレーキをかけることや、再エネ発電の出力を抑制することを中止する▽二酸化炭素排出量が大きい業界や大規模事業所に、二酸化炭素削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして政府と締結することを義務化する―と訴えています。
財界からの献金を受け、その意に沿って動く自民党ではできません。
原発と石炭火力を優先し、再エネを捨てる自民党政治を転換し、気候危機の打開に本気で取り組む政治を日本共産党の躍進で実現しましょう。
(「しんぶん赤旗」2024年10月26日より転載)