原発 屋内退避「3日」 検討チーム中間まとめ案
原発事故時に被ばくを低減するために行う屋内退避の運用に関して、原子力規制委員会の検討チームは18日、中間まとめの案を発表しました。屋内退避は、3日間の継続を目安に、生活維持が可能であればさらに継続する場合もあるとしています。
規制委の定めた原子力防災対策指針では、原発事故が発生し周辺住民に放射線影響が生じるおそれのある事態(全面緊急事態)では、原発から5キロ圏内はすぐに避難し、5~30キロ圏内は屋内退避をして、空間線量の測定結果に応じて避難などに移行することになっています。
1月の能登半島地震では、道路が寸断し孤立した集落や家屋倒壊、断水、放射線防護施設の損傷も発生、屋内退避の実効性に疑問が出されました。
しかし、規制委は原災指針に示された考え方を変更する必要はないとして、検討チームでは、自然災害と複合した場合の検討はされていません。中間まとめでも、能登半島地震に触れていません。
中間まとめでは、放射性物質の大規模な放出を防げた場合、原子炉施設の状態から重大事故対策が奏功していると判断できれば、屋内退避を一斉解除できる可能性が高いとしています。一方、屋内退避の開始時期を遅らせたり、対象範囲の縮小を判断することは困難としています。
屋内退避から避難への切り替えは、支援状況やインフラの状況などから生活維持が困難な場合、国が個々の地域ごとに判断し、指示するとしています。
検討チームは今後、関係自治体からの意見を聞き、詳細についてはさらに検討を続け、今年度中に最終的な考えをまとめることにしています。
泊原発 安全対策予算17倍に 5150億円
北海道電力が、再稼働を目指す泊原発3号機(北海道泊村)の安全対策費を総額5150億円と見込んでいることが18日、分かりました。東京電力福島第1原発事故後の新規制基準に対応するため、津波対策の防潮堤設置工事などの費用がかさみ、少なくとも当初想定の約17倍に膨らむ見通しです。
9月27日に開かれた原子力規制委員会の非公開のヒアリングで報告しました。それによると、現在進めている安全対策を含め、27年3月までにかかる費用として5150億円と積算。11年時点の想定は200億~300億円程度でした。(時事)
(「しんぶん赤旗」2024年10月19日より転載)