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エネルギー自給の村 独東部・・独自に温水供給網 基地跡で太陽光発電

フェルトハイム村の風力発電所
フェルトハイム村の風力発電所

トウモロコシが風に揺れ、小麦畑が広がるドイツ東部のフェルトハイム村。風力、太陽光で電力、バイオガスで温水を自力でまかなうエネルギー自給の村です。首都ベルリンから南西約70キロにある同村を訪ねました。(ブランデンブルク州トロイェンブリーツェン市フェルトハイム=片岡正明 写真も)

■目印は風車

フェルトハイムは人口140人ほどの小さな村です。2003年にトロイェンブリーツェン市と合併し、現在は同市の1地区となっています。風力発電の風車が目印です。その数、43基。7万4100キロワットの発電能力があります。

この村が再生可能エネルギ一による発電を始めたのは1995年。風の強さに目をつけた個人投資家が4基の風車を建設しました。その後、エネルギー・クウェレという会社を設立し、風車も増設しています。

2008年には、1994年まで旧ソ連軍が駐留していた基地の汚染を取り除き、太陽光発電所を稼働させました。今では284基の太陽光パネルで年274万8000キロワット時を発電しています。

「このバイオガス施設を見てください。農業協同組合がつくったのです」−と村民の1人、ガイドのジーグフリード・カッパートさん(73)が説明に力を込めました。

村の農業協同組合は飼育する牛や豚の糞尿などを発酵させてバイオガスをつくり、それを燃やして温水を供給する工場を運営しています。

もともと牛舎や豚舎をどうやって温めるか。その課題解決がきっかけでした。

「子豚に暖房を」と組合で話し合い、工場を建設しました。バイオガスの発生効率が悪くなる冬のために、木片を燃やす施設も設け、農協が運営しています。

エネルギー完全自給を実現するには、送電網や温水供給網も必要でした。村で発電しても、送電網を持つのは高額な使用料を要求してくる大手のエネルギー会社。そこで、独自の送電網と温水供給網をつくりました。

トロイェンブリーツェン市のミヒャエル・クナーペ市長は「前例がないことで難航しましたが、法的に不可能ではないということになり、10年10月に許可が出ました」と話します。

村の95%にあたる37世帯がそれぞれ3000ユーロ(約40万円)を出資して、温水供給網を運営する会社を設立。さらにエネルギー・クウェレの新しい送電網にも出資し、運営に参加しています。

■無限で安い

カッパートさんは「自然エネルギーは無限で安いよ」といいます。村の電気料金は1キロワット時当たり16・6セント(約22円)。25~26セントのベルリン市内と比べて格安です。

ドイツ政府は原発を22年までに完全停止することを決め、20年までに電力の35%を再生可能エネルギーでまかなう計画です。そうしたもとで、同村のようにエネルギーを自給する約200自治体の取り組みが注目されています。

クナーペ市長も「原発のリスクを次の世代に残さないためにも再生可能エネルギーヘの転換は必要です」と述べました。

トロイェンブリーツェン市のミヒャエル・クナーペ市長

トウモロコシが風に揺れ、小麦畑が広がるドイツ東部のフェルトハイム村。風力、太陽光で電力、バイオガスで温水を自力でまかなうエネルギー自給の村です。首都ベルリンから南西約70キロにある同村を訪ねました。(ブランデンブルク州トロイェンブリーツェン市フェルトハイム=片岡正明 写真も)

■目印は風車

フェルトハイムは人口140人ほどの小さな村です。2003年にトロイェンブリーツェン市と合併し、現在は同市の1地区となっています。風力発電の風車が目印です。その数、43基。7万4100キロワットの発電能力があります。

この村が再生可能エネルギ一による発電を始めたのは1995年。風の強さに目をつけた個人投資家が4基の風車を建設しました。その後、エネルギー・クウェレという会社を設立し、風車も増設しています。

2008年には、1994年まで旧ソ連軍が駐留していた基地の汚染を取り除き、太陽光発電所を稼働させました。今では284基の太陽光パネルで年274万8000キロワット時を発電しています。

「このバイオガス施設を見てください。農業協同組合がつくったのです」−と村民の1人、ガイドのジーグフリード・カッパートさん(73)が説明に力を込めました。

村の農業協同組合は飼育する牛や豚の糞尿などを発酵させてバイオガスをつくり、それを燃やして温水を供給する工場を運営しています。

もともと牛舎や豚舎をどうやって温めるか。その課題解決がきっかけでした。

「子豚に暖房を」と組合で話し合い、工場を建設しました。バイオガスの発生効率が悪くなる冬のために、木片を燃やす施設も設け、農協が運営しています。

エネルギー完全自給を実現するには、送電網や温水供給網も必要でした。村で発電しても、送電網を持つのは高額な使用料を要求してくる大手のエネルギー会社。そこで、独自の送電網と温水供給網をつくりました。

トロイェンブリーツェン市のミヒャエル・クナーペ市長は「前例がないことで難航しましたが、法的に不可能ではないということになり、10年10月に許可が出ました」と話します。

村の95%にあたる37世帯がそれぞれ3000ユーロ(約40万円)を出資して、温水供給網を運営する会社を設立。さらにエネルギー・クウェレの新しい送電網にも出資し、運営に参加しています。

■無限で安い

カッパートさんは「自然エネルギーは無限で安いよ」といいます。村の電気料金は1キロワット時当たり16・6セント(約22円)。25~26セントのベルリン市内と比べて格安です。

ドイツ政府は原発を22年までに完全停止することを決め、20年までに電力の35%を再生可能エネルギーでまかなう計画です。そうしたもとで、同村のようにエネルギーを自給する約200自治体の取り組みが注目されています。

クナーペ市長も「原発のリスクを次の世代に残さないためにも再生可能エネルギーヘの転換は必要です」と述べました。

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