原子力規制委員会が審査書案を了承した敦賀原発2号機の審査は、日本原子力発電(原電)の申請から9年近くたっています。建屋直下の断層についての議論は、規制委設置以前から続けられてきました。原電は再申請を表明していますが、廃炉を決断すべきです。(松沼環)
敦賀2号機は1982年に設置許可を得て、87年に運転を開始しました。規制委は今回、原電が2015年に提出した新規制基準適合性に関する変更許可申請を認めず、「不許可」にする見通しです。設置許可を取り消された場合は、事業者は廃炉にする義務がありますが、不許可では変更許可を再申請することも可能です。
原電は、不許可になった場合でも2号機の廃炉は考えていないとして、追加調査を実施して規制委に再申請すると表明しています。
桁違いの断層
2号機の東約200メートルには、専門家が一級の活断層と指摘する浦底断層が走っています。また敷地内には、原電の建設時の評価でも1、2号機周辺だけで100本以上もの断層が示されており、原子炉建屋直下にも複数の断層があるとされています。活断層にこれほど近接して建てられた原発は他にありません。また桁違いに多い断層の存在は、浦底断層の活動が影響していると考えられています。
今回不適合判断の根拠となったK断層の議論は、原発審査における入り口の議論です。原電が2号機を合格させるためには、新規制基準適合性審査で、K断層だけでなく敷地内の多数の断層の活動性や連続性、浦底断層が活動した際の原発への影響を確認していく必要があります。
浦底断層の存在は、以前から専門家が指摘していましたが、原電は設置許可時には、建屋直下はおろか、浦底断層も活断層ではないと主張し、2008年になってようやく活断層だと認めました。原電の断層評価やそれを認めた審査のいいかげんさを示しています。
13年発電せず
原電は、原発専業の電力卸ですが、11年5月の敦賀2号機の停止以降まったく発電していません。それでも、原電は、電力会社からの資金で長年黒字を続けています。
活断層の縁に立つ敦賀原発2号機を廃炉にさせないために、今後も消費者の負担が続くことは極めて問題です。不十分な審査による既許可は取り消されるべきであり、原電は再申請などを行わず、2号機の廃炉を決断すべきです。
(「しんぶん赤旗」2024年8月29日より転載)