伊方差し止め訴訟 結審/広島地裁 避難計画の不備など焦点
広島と長崎の原爆被爆者や福島の原発避難者を含む357人が四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた集団訴訟の第45回口頭弁論が17日、広島地裁(大浜寿美裁判長)であり、結審しました。提訴から8年以上を経てすべての審理を終了し、判決は来年3月5日に言い渡される予定です。裁判では傍聴券が抽選になるなど、多くの人が傍聴に駆けつけました。
福島第1原発事故から5年目の2016年3月11日、広島・長崎の原爆被爆者18人を含む66人の原告が広島地裁に提訴した第1陣から9陣までの原告総数は357人まで膨らんでいます。
原告が提出した最終準備書面では、避難計画の不備や、伊方原発が中央構造線断層帯の連動地震やマグニチュード9が予想される南海トラフ巨大地震に対して極めて脆弱(ぜいじゃく)であることなどを主張しました。
裁判後の報告集会で胡田敢弁護士は、原発促進の逆風があることも指摘し「一喜一憂してはならない。反原発、脱原発の声を大きくすることで政治を動かすことができる」と力説。原告団長の堀江壮さん(83)は「10月で84歳になりますが、もう何年も生きられません。後の世代の人たちのためにも、この裁判頑張らんといけん。今後とも多くの人の支援をよろしくお願いします」との訴えに、参加者は拍手で応じました。
規制委 停電は「軽微違反」 福島第1原発巡り暫定評価
原子力規制委員会は16日、東京電力福島第1原発の廃炉作業を監視する検討会を開きました。今年4月に構内で掘削工事をしていた作業員が誤って電源ケーブルを損傷させたトラブルについて、廃炉作業を進めるために策定された実施計画の「軽微な違反」とする暫定評価を示しました。
トラブルで作業員はやけどし、医療機関に救急搬送されました。また所内に電気を供給する系統の一つが停止し、汚染水(アルプス処理水)の希釈放出設備が止まり、海洋放出が6時間半停止しました。
規制委の事務局である原子力規制庁の担当者は「一歩間違えれば、感電等により作業員の命にかかわる可能性があった。労働災害の観点からも重大な過失があった」と指摘しました。
検討会に参加する福島県大熊町の蜂須賀禮子商工会会長は「東京電力の体質が13年たっても変わっていないのかなと感じています」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2024年7月18日より転載)