国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の見直しに向けて議論している経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」が8日開かれ、脱炭素電源の現状と課題について議論しました。
経産省資源エネルギー庁は、AIの拡大に伴うデータセンターや半導体の増加によって、将来の電力需要が増加する可能性が高いと予測。再エネと原子力を合わせた「脱炭素電源」の拡大や系統の増強などの課題、さらに制度や資金面で支援の強化について議論をしました。
委員からは、「(原発の)再稼働のみならず、新増設に向けた政策の具体化が必要」(橋本英二・日本製鉄会長)とか、「原子力の必要容量などを示して、事業者に事業継続、投資判断を促す必要がある」(工藤禎子・三井住友銀行副頭取)など、原子力の位置づけや投資環境の整備を求める意見が相次ぎました。
一方、高村ゆかり・東京大学教授は、過剰な電源設備による電力料金への影響も懸念されるとしてエネルギー需要の将来予測について「さらなる検討、精査」を求めました。村上千里・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会環境委員会副委員長は、英仏両国での原発建設コストの増大を指摘し、「新規建設が本当に安い電源になるのかぜひ検証を」と求めました。
(「しんぶん赤旗」2024年7月9日より転載)