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主張 「脱炭素」電源入札/原発新増設への支援をやめよ

 原発回帰の岸田文雄政権のもとで、原発の新設・建て替えを支援する新たな仕掛け「長期脱炭素電源オークション」が動き出しました。入札に応じた発電事業のうち発電単価の低いものから募集枠を埋めていきます。採択された電源には、運転開始から20年間、建設費や人件費など固定費相当の収入が保障されます。その費用は新電力を含めすべての電力小売り事業者からの拠出金で賄われます。

 4月末、島根原発3号機(中国電力)など52件が採択されました。

 脱炭素を口実に、電力会社が投資リスクを負わずに原発建設をすすめる、しかも、そのコストを、電気料金を通して、再生可能エネルギー100%電力の消費者も含めて負担させるという言語道断の仕組みです。

■原発業界を救済

 この制度は低迷する原発業界救済のために導入されました。東京電力福島第1原発事故以来、建設中だった島根原発3号機と青森県の大間原発(電源開発)の工事は継続しているものの、他の建設計画は宙に浮きました。既設原発の規制基準対応のための改修工事と日常的な維持管理などで食いつないでいますが、原発関連専業企業の廃業や大手企業の撤退など斜陽産業化しています。原発新増設への道が開くかどうかは業界の存続がかかる問題です。

 しかし、燃料費ほぼゼロの太陽光発電など再生可能エネルギーによる電力供給が拡大するなかで、原発建設への巨額の投資は電力会社にとっては大きなリスクとなっています。そこで電力業界をはじめ財界は、リスクを負わずに巨額の原発建設費を回収できる仕組みづくりを岸田政権に強く求めてきました。それを丸のみしたのがこの制度です。

 岸田政権はさらに、既設原発の規制基準対応のための改修費用もオークションの対象にしようとしています。改修費用は各電力会社の見込み額合計で5兆円を超え電力会社の大きな負担となっているからです。

 福島第1原発事故以降、原発建設コストが兆円単位に上昇し、欧米では中止された建設計画もあります。原発は高コスト電源であり、経済的合理性がないという現実を政府も業界も受け入れるべきです。

 そもそも原発は社会的に受け入れられないものです。福島原発事故が示すように、一たび重大事故を起こせば多くの住民が避難を強いられ地域社会も破壊されます。核のゴミ処分のめどもありません。岸田首相は現実を直視すべきです。

■石炭の延命やめよ

 長期脱炭素電源オークションは石炭火力発電のアンモニア混焼への改修も対象です。計画通り混焼率2割で発電しても、石炭火力は天然ガス火力より多くの二酸化炭素を出します。アンモニア混焼に脱炭素の看板を掛けて石炭火力の延命を図るのはやめるべきです。

 今回のオークションでは、太陽光発電や風力発電は応募すらありませんでした。同制度は、初期投資が巨額なものが対象で、10万キロワット以上の電源に限られているためです。

 脱炭素電源を掲げるなら、原発の新増設や石炭火力の延命をすすめるのではなく、再生可能エネルギーの拡大にこそ力を入れるべきです。

(「しんぶん赤旗」2024年7月11日より転載)