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原発事故責任明確に/仙台高裁 津島訴訟で新主張

裁判所へ行進する原告団や支援者=18日、仙台市

 福島第1原発事故で大部分が帰還困難区域となっている浪江町津島地区の住民650人が、東電や国に対し原状回復などを求めている裁判の第9回控訴審が18日、仙台高裁でありました。

 この日は弁護団が国の責任をめぐって新たな主張を展開。石垣陽介裁判長が津島地区の現地視察に行くことが決まりました。

 弁護団は、冷却機能の維持が「原発を安全に運用するために必要不可欠な本質的要素」であると確認。その上で「過酷事故を起こさないためには長時間の全電源喪失に備えた対策をとることが必須だった」と指摘し、こうした対策が不十分なまま原発を設置させた国の「作為」の責任を主張しました。事故の国の責任を免罪した2022年の最高裁判決後、同種の訴訟でまるでコピーのような判決が続いていることを受けたものとしています。

 原告を代表して武藤晴男さん(67)が、声を震わせながら陳述。原発事故直後に嫌がる父親を説得し「ふるさと」を追われ、両親が避難先で亡くなった経緯を語り、「東電と認可した国の責任は十分すぎるほど重い」と裁判官に訴えました。

 弁護団事務局長の白井劍弁護士は「原状回復を実現するためには、国と東電が加害者であることを明確にすることが不可欠です」と求めました。

(「しんぶん赤旗」2024年6月21日より転載)