頻発する異常気象に対し、実効性の乏しい日本政府の気候変動対策政策に危機感を持つ市民有志は4日、都内でシンポジウムを開きました。産業革命後の気温上昇を1・5度以下に抑えるための政策を各分野の専門家らで持ち寄り、今後、国民的議論を呼びかけます。
国連の報告書は「今後10年の政策が数千年にわたり影響する」と指摘しており、国連に来年提出する2035年までの温室効果ガス削減目標を作り上げる重要な時期です。
「これまでの日本の政策では自ら掲げる削減目標すら達成できない」と指摘する東北大学教授の明日香壽川さんは、排出削減費用でも電気代でも原発運転期間の延長よりも再生可能エネルギーの新設の方が安いとするデータを示し、「日本では原発に見えないお金がつぎ込まれている」と指摘しました。
若者中心の運動「ワタシのミライ」実行委員会の吉田明子さんは、5月に始まったエネルギー基本計画の見直しに関する経済産業省の審議会について、「委員が化石燃料産業や原子力産業が中心。市民の意見を聞かずに進められている」と批判しました。ワタシのミライで署名活動を展開し、日本政府に対し再エネへの移行を求めていると報告しました。
地球環境戦略研究機関(IGES)参与の西岡秀三さんは、日本の削減計画が今後10年に整合するものではないと批判。日本の現行政策について、「俺たちは夢の技術ができるまで当分排出させてもらうというものだ。科学を無視した政策は回り道で非効率的で金遣いが荒い」と批判しました。
日本共産党の笠井亮衆院議員、岩渕友参院議員や野党議員が参加しました。
(「しんぶん赤旗」2024年6月5日より転載)