日本原燃の社長が謝罪/保障措置問題
原子力規制委員会は18日、日本原燃の増田尚宏社長らと核物質が核兵器に転用されないようにする保障措置に対する姿勢などについて意見交換を行いました。
原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)では昨年1月、国際原子力機関(IAEA)のカメラで監視している部屋の照明が全て消え、核物質の監視が約2時間できなくなる問題が発生しました。
原燃はこの問題について昨年3月に報告書を提出しましたが、記載が不十分だとして規制委は再提出を要求。原燃は今年2月に改めて報告書を提出し、再発防止策としてトップマネジメントの強化などを挙げていました。
増田社長は「IAEAの信頼を失うことは世界の信頼を失うことであり、当社の事業並びに日本の原子燃料サイクルが継続できなくなることと認識しております。再びこのようなことを起こさぬよう私が先頭に立って、徹底して再発防止に取り組みます」など謝罪しました。
また認めず/仙台高裁 ふるさと喪失訴訟 東電には賠償命令
東京電力福島第1原発事故で宮城県などに避難した福島県浜通りの住民81人が、ふるさとを喪失したなどとして国と東電に計約5億5300万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決が18日、仙台高裁(瀬戸口壯夫裁判長)でありました。一審に続き国の責任を認めませんでした。国の責任を認めないとした2022年の最高裁判決後、七つの高裁判決はいずれも国の責任を認めていません。東電には原告75人に計約1億5817万円の賠償を命じました。
瀬戸口裁判長は、東北地方沿岸を襲った貞観津波(869年)を踏まえた津波高の計算の報告を東電から受けた2009年9月に国は福島第1原発の敷地を超える津波到来の可能性を認識し、東電に対策を命令する状況にあったと指摘。しかし、事故前の津波防護の考え方では、原告が主張した施設の水密化は考えにくく、命令しなかったことは著しく合理性を欠くとはいえないと判断しました。
東電に対しては、原子力事業者として地震や津波の到来の危険性に誠実に向き合って予見し、真摯(しんし)に対応していたとは到底いえないと指摘。東電が2008年に国の「長期評価」を基にした敷地を超えるとする津波試算を行ったのに、それを取り入れた対策を講じないまま事故の発生に至ったことは慰謝料額算定の重要な事情と認定しました。賠償額は原子力損害賠償紛争審査会が22年12月に公表した、賠償基準の目安を示した中間指針第5次追補を踏まえ、計約1億5817万円の支払いを命じ、一審の計約1億4458万円を上回りました。
判決後の原告側の報告集会では、鈴木宏一弁護団長は「6・17最高裁判決を踏襲したような判決だ」として「国の責任を最後まで追及したい」と述べ、原告団長の石井優(ゆたか)さん(76)は「司法は原発推進にかじを切ったのか。怒りにはらわたが煮えくり返る思い」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2024年3月19日より転載)