四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は安全性が確保されていないとして、大分県の住民約550人が四国電を相手に運転差し止めを求めた訴訟の判決が7日、大分地裁(武智舞子裁判長)であります。同種の集団訴訟は広島、松山両地裁と山口地裁岩国支部でも係争中ですが、判決は初めて。
訴訟の争点は、地震のリスク評価や火山噴火への対策など。伊方原発は佐田岬半島の付け根に立地し、豊後水道を挟んで大分市佐賀関から約45キロの位置にあり、住民らは2016年9月に提訴しました。
住民側は、原発周辺の地下構造について、四国電側の調査が不十分だと指摘。「3次元地下構造探査」を実施していないため、活断層の存在を正確に把握できていないと主張しています。
四国電側は東京電力福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準では、3次元探査は必須とされていないと主張。海上音波探査などの結果、原発周辺に活断層はないとしています。
また、住民側は「(噴火規模の)想定が過小」とし、阿蘇山(熊本県)で破局的噴火が起きた場合を想定すべきだと訴えています。これに対し、四国電側は「原発の運用期間中に巨大噴火が発生する可能性は小さい」などと反論しています。
3号機を巡っては、広島高裁が17年12月、運転差し止めを命じる仮処分決定を出しましたが、同高裁の別の裁判長が18年9月、四国電の異議を認めて決定を取り消しました。同高裁は20年1月にも運転差し止めを命じましたが、21年3月に再び異議審で取り消されました。(時事)
(「しんぶん赤旗」2024年3月6日より転載)