原発被害者訴訟原告団全国連絡会は10日、東京都内で「原発事故は国の責任です~私たちは被害者切り捨てと分断を許さない」と題して集会を開きました。100人余が参加。各地の原告が今も苦しみが続く原発事故による被害を訴えるとともに、事故をめぐって国の責任を否定した一昨年6月の最高裁判決を克服するためのたたかいを誓い合いました。
同連絡会は、事故を引き起こした国と東電の法的責任を追及し、原状回復と完全な賠償を求めて運動しています。
集会では、ふるさとの原状回復などを求める津島原発訴訟の原告・三瓶春江さんが発言。帰還困難区域の福島県浪江町津島地区で昨年3月に特定復興再生拠点区域(同地区の1・6%)の避難指示が解除されたことに触れ、事故前よりよくなることが復興であり、自然の恵みをもらい、人々が助け合う地域が戻ったわけでなく、「国は復興の言葉を安易に使ってはいけない」と指摘しました。安全が担保されずインフラも整わないなか、ふるさとに帰りたい思いをがまんして避難生活をしている苦しい思いを語りました。
最高裁判決について「国策である原発の事故が国に責任がないと考える人は一人としていない」と述べ、子どもたちを守るために自分たちのたたかいを次世代に伝えなければならないと訴えました。
東京訴訟の原告・鴨下全生(まつき)さんは避難先でのいじめなどにあった体験を述べ、「被害がない、すべてが元通りになったかのような情報が広がっている」として「当事者だからこそ、被害の発信を続けていく」と決意を述べました。
集会では、吉村良一・立命館大学名誉教授が講演。最高裁判決を克服するために▽大津波の予見可能性など検討すべき論点を避けた最高裁に「ちゃんと判断して」という世論を高めていく▽原発推進の「国策」を批判し変えていく取り組み▽裁判所・裁判官と「原子力村」が癒着し、司法の「公平らしさ」を損なう事態を批判する必要がある―と指摘しました。
昨年11月に発足した「ノーモア原発公害市民連絡会」世話人の関礼子・立教大学教授は「最高裁判決の過ち、危うさを危惧している」と述べ、事故の被害の苦しみをよそに原発推進政策が進んでいると指摘し、最高裁判決を変えていく波をつくっていこうと呼びかけました。
日本共産党の高橋千鶴子衆院議員のメッセージが紹介されました。
(「しんぶん赤旗」2024年2月11日より転載)