福島第1汚染水漏れ

220億ベクレル含む約5.5トン

鉄板の上に漏えいした汚染水が漏れた現場。鉄板の隙間から土壌にしみ込んだ可能性があるといいます=東京電力資料から

 東京電力福島第1原発から出る汚染水の浄化装置の洗浄中に、建屋の排気口から高濃度の汚染水を含む水が漏えいしていることが8日までに、明らかになりました。

 同社は7日、セシウム、ストロンチウムなどの放射性物質を含む約5・5トンの水が漏れ出たと試算。ガンマ線を出す核種が220億ベクレルと見積もっています。建屋周辺の地面に敷いた鉄板に縦、横約4メートル、深さ1ミリの水たまりができたほか、土壌にも染み込んだと見られます。漏れた水の回収は完了。8日、土壌の回収作業を始めました。

 東電によると、元請け企業3人、1次下請け2人、2次下請け1人の労働者計6人が同日午前8時半ごろから建屋内の配管の洗浄作業を始めました。同53分ごろ、装置内で発生する水素を排出する排気口から漏水しているのを別の作業員が発見しました。

 本来は作業中、配管につながる排気弁16カ所の手動弁を「閉」状態にする手順でしたが、10カ所が開いた状態になっていました。東電は、開いていた排気弁を通じて汚染水と洗浄水が排気口から漏れ出たと見ています。

 この排気口では、2012年11月にも汚染水の漏えい事故が発生しました。


海洋放出の前提崩れた

 ふくしま復興共同センター 野木茂雄代表委員の話 私たちは事故のあった7日午後、参院議員会館で、「ALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出中止と新たな汚染水の発生を抑える抜本対策を求める署名」を提出し、政府交渉をしました。帰宅後に今回の汚染水漏えい事故のニュースを見て、驚きと怒りの気持ちでいっぱいです。

 国や東電によると、汚染水(アルプス処理水)の海洋放出の前提は「想定外の事態」を起こさないことです。それが起きると、原発事故後の13年間に及ぶ漁業者や福島県民の復興の努力が一瞬にして台なしになってしまうからです。今回の事故は、そうした状況を招く可能性を示す重大なもの。海洋放出はただちに中止することを強く求めます。

 また、汚染水・処理水問題の解決のために専門家が提案しているように、原子炉建屋への地下水流入を止める対策や陸上保管を継続する対策について、国と東京電力が早期に具体化を進めることを求めます。


事故原因を明らかに 岩渕氏が東電に抗議

 東京電力福島第1原発の高温焼却炉建屋壁面から汚染水を含む水が漏えいした事故で、日本共産党の岩渕友参院議員は8日、東電の担当者から事故内容や原因について聞き取りしました。岩渕氏は抗議するとともに、原因が明らかになるまで海洋放出はやめるべきだと東電に求めました。

 同社は、建屋に設置されている第2セシウム吸着装置(サリー)のベント口から汚染水が漏れたと説明。「本来、弁を閉めるべきところ、開いていたため漏れてしまった。なぜ開いていたのか、いつから開いていたのかなどは調査中だ」と話しました。

 また同社は、汚染水が敷地内の土壌にしみ込んだと考えているとして、「土は掘り起こして保管する」「(期間について)早い段階でやりたい」と述べました。

 弁の閉め忘れに関し岩渕氏は「責任がどこにあるのかどうかも、精査中なのか」と質問。同社は「その通りだ」と述べ、「何が要因だったのかも、これから調査していく」とも語りました。

 岩渕氏は「東電による管理がどうなっていたのかを問う厳しい目が向けられている。福島第1原発では、作業員が放射性物質を含む水を浴びて被ばくするなど、短期間にトラブルが相次いでいる。今回の問題もあってはならない重大な事故だ」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」2024年2月9日より転載)