東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に避難した6世帯17人の住民が東電と国に計約2億4700万円の損害賠償を求めた千葉訴訟第2陣の控訴審判決が22日、東京高裁(土田昭彦裁判長)でありました。2019年の一審千葉地裁判決に続いて国の責任を認めませんでした。原告は上告する見込み。
国の責任について土田裁判長は、津波による事故を防ぐために国が規制権限を行使して東電に適切な措置を義務づけても、2011年3月と「同様の事故が発生するに至った可能性が相当ある」と指摘。規制権限の行使と事故との因果関係を認めず、国が規制権限を行使しなかったことを理由に損害賠償責任を負うことはできないと結論づけました。2002年に国の機関が公表した地震予測「長期評価」が大津波の襲来を予見した可能性には触れませんでした。
昨年6月17日に出された国の責任を否定した最高裁判決後、国の責任を判断した3件目の高裁判決。いずれも国の責任を認めませんでした。
原告のほとんどは避難指示区域外からの避難者です。賠償について判決は、16人について計440万円の賠償を東電に命じました。約509万円を命じた一審より減額となりました。
判決後の報告集会で、弁護団の滝沢信事務局長は、国の責任を認めなかった最高裁の多数意見と今回の判決が「うり二つ。多数意見をコピペした判決だ」と指摘し、「6・17の最高裁法廷が頭にフラッシュバックした」と述べました。また「事故でいまだに何万もの人が避難していると法廷で訴えたのに、それを全く考えなくていいと。これが裁判官の良心だとすると驚きだ」と、怒りを込めました。
原告の一人は「また同じことが繰り返されて、国が言い逃れできる流れができてしまうのではないか。今後もあきらめず、最後までたたかいたい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2023年12月23日より転載)