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柏崎刈羽原発 運転禁止解除か 「適格性」の判断 規制委に力なし 新潟大学名誉教授 立石雅昭さん

規制委が入るビル前で東京電力柏崎刈羽原発の運転禁止解除に反対する市民ら=20日、東京都港区

 東京電力柏崎刈羽原発をめぐり原子力規制委員会が20日、運転禁止命令について27日に最終判断すると決めたことに、同原発の問題に詳しい立石雅昭・新潟大学名誉教授からコメントを寄せてもらいました。

 規制委は2017年暮れ、柏崎刈羽原発の6、7号機の設置変更を規制基準に適合しているとして認可しました。その際、現地や社長の聞き取り調査を実施して、原発を運転する適格性について、「適格性有り」と判断しました。

 20年10月には、社長の責務も盛り込んだ保安規定を了承しました。ところが、この保安規定審議のさなか、柏崎刈羽原発では、社員が他人のIDカードを不正に使用して中央制御室に入室したり、複数の侵入検知装置の故障が放置されていたことが発覚しました。

 適格性判断では、核防護組織の管理者の兼務や、核防護を審議する会議に参加していなかったことは問題にされませんでした。

 この流れを見れば、規制委には東京電力や柏崎刈羽原発の核防護・テロ対策の不備を見抜く力が無いことが明らかです。

 その後、東電の改善活動に対する現地調査のさなか、期限切れの入構票使用や薬物陽性反応社員の入構、本社の核防護担当社員が情報を無断印刷して持ち帰る事案などが発覚しました。

 ところが山中伸介規制委委員長はこうした事案は軽微なものと発言。小さなトラブルの積み重なりが、大きな事故に至るという認識が欠如しています。社長が全責任を負うというフレーズは保安規定でも盛り込まれましたが、実質的に意味が無いことは、その後の流れを見れば明らかです。

 今回の命令解除へ判断材料がそろったという判断は、トラブルが相次ぐ東電の体質、根本的問題から目をそらした「稼働」ありきの判断でしかありません。

(「しんぶん赤旗」2023年12月21日より転載)