テロ対策上の不備が相次いで発覚し、事実上の運転禁止命令が出されている東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)について、原子力規制委員会の事務局の原子力規制庁は12月6日、テロ対策の問題については「改善が図られた」とする検査報告書案を規制委の定例会合で報告しました。
会合では報告内容はおおむね了承され、規制委が今後、委員長らによる現地調査と東電社長らとの意見交換を実施した上で、命令を解除するかどうか判断する方針です。
柏崎刈羽原発では、他人のIDカードを使用しての中央制御室への侵入や侵入検知装置の不具合といったテロ対策上の重大な問題が相次いで見つかり、規制委が2021年4月、事実上の運転禁止命令を出していました。
規制庁は同年から、東電の改善への取り組みを確認するための特別検査を実施。報告書は、テロ対策等の劣化については「改善が図られた」とし、「改善措置を一過性のものとしない仕組み」が「定着しつつある」としています。
また、規制委は今年5月、命令解除の際には、東電に原発を運転する「適格性」があるかを再確認するとしていました。適格性については、17年12月に規制委が一度、東電の適格性を認める判断をしています。その際、東電は、福島第1原発の廃炉を「やりきる覚悟」や原発のリスクを低減する取り組みなど7項目を確約し、保安規定の「基本姿勢」に明記しました。
規制庁の報告では、この間の検査における指摘事項や「基本姿勢」の取り組み状況を報告。「基本姿勢にのっとった取り組みを行っている」などとする報告を行いました。
一方、7項目の一つにある福島第1原発の廃炉を進めるにあたって、「正確な情報発信を通じて…、廃炉と復興を実現する」については、規制に直接関連はしないとして、確認の対象から外したとしています。
(「しんぶん赤旗」2023年12月7日より転載)