東京電力福島第1原発事故で福島県から千葉県に避難した6世帯17人の住民が国と東電に計約1億円の損害賠償を求めた千葉訴訟第2陣控訴審の第13回口頭弁論が21日、東京高裁(土田昭彦裁判長)であり、結審しました。判決は12月22日。
原告のほとんどは避難指示区域外からの避難者です。
原告の菅野貴浩さん(61)が意見陳述しました。昨年6月に同様の4訴訟で国の責任を否定した最高裁判決について「国に忖度(そんたく)したのではないか」と指摘。福島市から「子どものことを考えて避難した。決断してよかった」といい、避難指示区域外と区別されるが「避難せざるを得ないのは同じ」と述べました。
5人の原告代理人が陳述。政府に忖度せず国民世論に依拠して司法の役割を果たすことを求め、▽2002年に国が公表した地震予測「長期評価」が客観的合理的な根拠に裏付けられたもので、大津波の襲来を予見できたこと▽建屋の水密化などで国が規制権限を行使すれば事故の回避は十分可能だったことなどについて主張。最高裁判決に忖度せず「国家賠償責任を明確にして」と述べ、裁判官に「私たちの叫びを受け止めてください」と訴えました。
閉廷後の報告集会では、意見陳述した菅野さんが「いい判決が出るように祈っています」といい、滝沢信・弁護団事務局長は「控訴して約4年。判決言い渡しは6カ月後。希望は捨てない。最高裁判決がこれからも大手を振ってまかり通るとは思えない。全国と連携してがんばっていかなければいけない」と述べました。
一審の千葉地裁判決は、国の責任を否定し、4世帯9人に約509万円の賠償を命じました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月22日より転載)