東京電力福島第1原発事故で福島県から東京都内などに避難した住民17世帯47人が、国と東電に対して1人当たり約800万円の損害賠償を求めた福島原発被害東京訴訟の控訴審の口頭弁論が20日、東京高裁(三角比呂裁判長)でありました。
原告の多くは避難指示区域外からの避難者。
原告の鴨下全生(まつき)さん(20)が意見陳述しました。8歳の時に原発事故に遭い、両親ら家族5人で東京都内に避難。避難先でいじめ・暴力を受けた経験を語り、「ただ地獄のような日々を生き続けました」と涙ながらに語りました。東電に対し「区域外避難者である僕たちへの加害を認め、被害にふさわしい賠償を」と訴え、裁判官に対し「傷つけられた僕らの人権を回復し、この理不尽と苦しみから僕たちを救い出してください」と述べました。
原告代理人は福島原発事故について、国が規制権限を行使せず、東電も積極的に対策を施すべき高度の注意義務を怠った「人災」だとして、国の法的責任を主張。原告が受けた精神的苦痛・被害を直視し、慰謝料額を被害実態に見合ったものにすべきで、区域内外の賠償格差を広げてはならないと訴えました。
閉廷後に国会内で行われた集会には支援者ら約120人が参加。陳述した全生さんの父で原告団長の鴨下祐也さん(54)は「(国の責任を否定した)最高裁判決をひっくり返すため、高裁で勝っていかなければならない」と述べました。日本共産党の岩渕友参院議員があいさつしました。
2018年3月に出た東京地裁の一審判決は、国と東電に計約5900万円の支払いを命じました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月21日より転載)