政府の高速炉開発事業について日本共産党の笠井亮議員は7日、衆院経済産業委員会で「『もんじゅ』で失敗しているのに、なぜ高速炉の実証炉開発を進めるのか」とただし、事業の中止を求めました。
高速増殖原型炉の「もんじゅ」は1995年にナトリウム漏れ事故を起こし、2016年に廃止が決まりました。ところが、政府は、今年度予算で技術的に同様の「高速炉実証炉開発事業費」に約75億7000万円を計上しています。
笠井氏は、政府が発電技術を確立するための「原型炉」から、経済性を見通す「実証炉」へと進もうとすることについて「『もんじゅ』の廃止を真摯(しんし)に総括・反省しているとは思えない」と批判しました。
西村康稔経産相は「失敗」と口にしながら「経験を踏まえて、さらに進めていく」と答弁。笠井氏は「経験といっても、もんじゅの稼働はのべ250日しかない」こと、会計検査院の決算報告で技術成果の達成度が16%しかないなど「惨たんたるものだ」と指摘し、「明らかな失敗ではないか」とたたみかけました。
もんじゅに投じた総支出額が当初の10倍、1兆1300億円以上に膨らんだことも指摘した笠井氏。2月に閣議決定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で、高速炉実証炉開発計画で2040年代に運転などと描いているが、総事業費をどれだけ見込んでいるのかと質問。西村経産相は「見通すことは難しい」と述べるにとどまりました。
笠井氏は「失敗を失敗ととらえて、真剣に向き合っていかないと、どんどん税金をつぎ込む。青天井で無計画な事業は『もんじゅ』の二の舞いになるだけだ」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月8日より転載)