原子力規制委員会の田中俊一委員長は10月16日に開かれた定例会合で、福島第1原発で相次いでいるタンクからの放射能汚染水漏れについて東京電力が提出した報告書について「指示の趣旨と少し違うと率直に感じる」と述べました。
原子力規制庁は4日、池田克彦長官が東電の広瀬直己社長を呼び、他の発電所から人員を回して汚染水対策を強化することや、柏崎刈羽原発の管理体制についての報告を求めていました。東電は15日、現場管理上の問題点として、作業計画の不備や多忙による意思疎通の不足などを挙げ、福島第1原発の汚染水対策の管理要員を約200人増員するなどの対策を報告しました。
田中委員長は「手順書や連絡がどうのと、それで済む状態ではない。言葉で表現できない、レベルの低い話がどんどん起こる根本には深い根があるはず。中身をよく精査し、実態を見た上で判断したい」と指摘しました。
池田長官も「こちらの趣旨を(東電は)矮小(わいしょう)化というか、取り違えていることがある」と述べ、報告書の評価について来週の定例会合で報告するとしました。
堀内の水を放出・・暫定基準値変更
東京電力は10月15日深夜、原子力規制委員会の汚染水対策検討ワーキンググループに同日午後に提案した、タンクを囲む堰(せき)内にたまった水を放出するかどうかの暫定基準値の変更案を提出しました。
午後に提案した当初案では、トリチウム(3重水素)が考慮されていないとの指摘を規制委から受けたため、セシウム134を1リットル当たり15ベクレル、セシウム137を同25ベクレル未満、ストロンチウム90を同10ベクレル未満に変更し、規制委も了承しました。
基準値を満たさなければ、別のタンク(容量4000トン)に回収することになっています。