東京電力福島第1原発事故を受け、国が2012年度までの2年間に計上した除染事業の予算7500億円余のうち、実際に支出されたのは6割の4692億円にとどまることが10月16日、会計検査院の調査で分かりました。汚染土の仮置き場の確保や、全国に散らばった避難住民の除染への同意取得に時間がかかっているためといいます。
環境省は9月、今年度末完了を目標としていた事業を福島県の7市町村で延長すると発表しましたが、思うように進まない現状が財政面から裏付けられた形です。検査院は「被災自治体への積極的な支援が重要だ」との所見を付け、検査結果を内閣と国会に報告しました。
検査院によると、11年度の支出は基金設立を含め2762億円。翌年度に繰り越された1390億円のうち1000億円近くは使われないままでした。12年度も支出は1930億円で、1784億円は今年度に繰り越されました。
福島県内で除染特別地域に指定された11市町村のうち、南相馬市と飯舘村では7月末時点で同意取得と仮置き場の確保がどちらも2~3割にとどまりました。浪江町では同意が1割余りで仮置き場は未確保でした。一方、関東地方の5県で汚染状況重点調査地域に指定された49市町村の子ども関係の施設約4200カ所の除染実施率を調査したところ、小中学校と幼稚園、保育所では5県とも完了か9割以上でした。数が多い公園は、栃木の3割から埼玉の完了まで県によりばらつきがありました。