東京電力は10月16日、台風26号による大雨で福島第1原発の放射能汚染水の貯留タンク群を囲む堰にたまった水の水位が上昇したため、9カ所のタンク群で堰の排水弁を開くなどして、敷地内に放出したと発表しました。ほとんどが堰から直接放出したため、放出した水の総量はわからないといいます。東電は「緊急時の措置」としていますが、検証が必要です。
当初、東電は放出する際、いったん別のタンクに移した上で水を分析し、基準値以下を確認して放出すると説明していましたが、今回、堰内の水を直接測定し放出しています。
放出した9カ所の堰内の水を測定したところ、セシウム137は最大1リットル当たり21ベクレル、ストロンチウム90は最大1リットル当たり9・5ベクレルで、前夜に原子力規制委員会が了承した暫定基準値を下回っているとしています。うち1カ所は9月15日に測定した際、高濃度の放射性物質が検出され、「回収」とされていた場所です。
一方、基準値を超える放射性物質が含まれていた2カ所のタンク群では、大雨であふれそうになった堰の水を地下貯水槽に移送。地下貯水槽は七つあり、一部は4月に汚染水漏れが発覚しました。東電は今回、移送した貯水槽は漏れが発覚したのとは別の貯水槽といいますが、当初の計画になかった移送先です。