東京電力は10月17日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で、港湾外の海につながる排水溝の下流で16日に採取した水から、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質(全ベータ)が1リットル当たり1400ベクレルと、調査を始めた8月以降、最も高い値を検出したと発表しました。
排水溝は、汚染水漏れのあったタンクの近くを通っており、海に流れ出た可能性もあるといいます。ストロンチウム90は、環境への放出が許される法令限度が同30ベクレルで、今回の値は、これをはるかに超える可能性があります。
検出されたのは「C―2」と呼ばれる地点で、海から約150メートルしか離れていません。前日に採取した水の測定値は同19ベクレルで、1日で70倍以上に跳ね上がったことになります。
また、この地点より上流側の3カ所も同2000~2300ベクレルで、これまでで最高の値を検出しました。
東電は、地中に染み込んでいた放射性物質が台風26号の大雨によって排水溝に流れ込んだとみています。
しかし、原子力規制委員会の汚染水対策検討会合で、専門家は「強い雨が降ると地下水面が急激に上昇し、汚染物質が排水溝の底から漏れ出しているのではないか。排水溝の点検をすべきだ」と指摘。環境への影響を考えるなら、放射性物質の濃度だけでなく、流れた量を調べる必要があるとの意見が出されていました。