東京電力は10月17日、福島第1原発で汚染された地下水の海への流出を防ぐため、2号機タービン建屋海側の護岸近くで地下水をくみ上げる設備の仮設タンクから、放射性物質に汚染された地下水があふれたと発表しました。あふれた水はタンク下に敷いたシートでつくった堰(せき)内にとどまっており、海や周辺土壌への流出はないといいます。
東電によると、同日午前7時40分ごろ、東電社員が監視用カメラで仮設タンクから水があふれているのを確認し、くみ上げを停止しました。
設備は1、2号機の護岸近くにあり、くみ上げられた地下水は仮設タンクで土砂などを取り除き、ポンプで別のタンクに移してから2号機タービン建屋に移送しています。この仮設タンクから水を移すポンプのディーゼル発電機が停止し、ポンプが止まったため水があふれたといいます。東電は、この原因について、ポンプと同じ電源に接続された別のポンプで絶縁不良を起こしたためとしています。
汚染地下水のくみ上げは8月に始まり、くみ上げ量は1日平均51トン。地下水にはストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質(全ベータ)やトリチウム(3重水素)がそれぞれ1リットル当たり数十万ベクレル含まれています。これまでに約3000トンをくみ上げていますが、地下水の濃度は全く下がっていません。