原発の運転期間を60年以上可能にするなど原発回帰への大転換をねらう原発推進等5法案(GX電源法案)の改定に向けて原子力規制庁と経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)が非公式の面談で検討していた問題で、エネ庁側の資料を情報開示請求で入手したとして、NPO法人・原子力資料情報室の松久保肇事務局長は14日、記者会見しました。東京電力福島第1原発事故の教訓である「規制と推進の分離」に反し、「規制と推進が一体化している」ことが資料から示されていると指摘しました。
非公式の面談は昨年12月に発覚。岸田文雄首相が同8月に運転延長などについて検討を指示する前から行われていました。
原子力情報資料室が入手した資料のうち、昨年7月28日にエネ庁と規制庁との面談で使われたエネ庁の資料には、「運転期間の制限(40年+20年)は、安全規制上の必要性から定められたものではなく、利用政策・立法政策」「安全規制が緩んだように見えないことも大事」と書かれています。
松久保氏は「驚きの文章。(エネ庁は)規制と推進の分離を意識していない」と指摘し、「(運転制限について)間違った法的な解釈を勝手に示している」と批判。資料を面談で示された規制庁に対しても「推進による規制への干渉だとして、なぜ協議を中断しなかったのか」と、その対応を問題視しました。
松久保氏は、「エネ庁と規制庁の関係がズブズブになってしまっている」のは、長官らトップ5人の規制庁幹部が全て経済産業省出身者だという問題があると述べ、規制と推進の分離を考える上で深刻な状況だと強調しました。
エネ庁側の資料については、日本共産党の笠井亮議員が7日の衆院経済産業委員会で取り上げ、エネ庁側が原子力規制委員会所管の条文案などを示したのは「越権行為だ」と批判し、面談でのやりとりに関する記録の提出を政府に求めています。
(「しんぶん赤旗」2023年4月15日より転載)