原子力規制委員会は14日、日本原燃経営陣との意見交換で、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の稼働に必要な認可の申請書の3000ページ以上に誤りがあった問題などについて認識を聴取しました。原燃は作業の実態を把握していなかったことなど、問題を認めました。
原燃は、昨年12月26日に再処理工場の約2万5000機器の詳細な設計などに関わる認可の申請書を提出しましたが、その中に誤記やページの脱落、記載漏れなど多くの不備が見つかりました。原燃によれば、約6万ページに及ぶ申請書の約5%にあたる約3100ページに誤りがあったとしています。
原燃は、これまでの規制委の審査会合で誤りの原因として「作成担当課は経営層、事務局へ状況を伝えても、工程は見直されないと考えた」など、スケジュールありきの実態を報告しています。
この日の意見交換で、原燃の増田尚宏社長は「作業の実態を直接確認することを行わなかった」「作成担当課が率直な意見を発信できる環境をつくれなかった」など問題を認めました。
規制委の山中伸介委員長は「審査に足る申請書を出していただくことが基本」と述べました。
また、使用済み燃料を取り扱う施設の一部で照明が消え国際原子力機関(IAEA)のカメラによる監視が一時できなかった問題では、委員から「国としての責任を問われる問題。残念ながら見合った管理がなされていなかった」(杉山智之委員)などの指摘がありました。
原燃は、昨年9月に再処理工場の竣工(しゅんこう)時期を2022年度上期から延期すると発表。新たな竣工時期は、12月末になって24年度上期のできるだけ早期を目指すと表明しています。再処理工場は1993年に着工し、当初計画で竣工時期は97年でしたが、今回で延長は26回目。原子力規制委員会は2020年7月に再処理工場の事業変更申請を許可しましたが、詳細な設計等の審査が続いています。
(「しんぶん赤旗」2023年4月15日より転載)