16市町村で運動継続 「柏崎大集会」開催へ
「今年、原発再稼働を狙う岸田政権との勝負の年となる」。世界最大規模の東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県。この11年間、政府・東電が再稼働に向けた執拗(しつよう)な動きを続ける中、県民の世論と運動で一度も再稼働を許してきませんでした。しかし政府のグリーントランスフォーメーション(GX)実行会議が、原発再稼働・新増設をすすめる基本方針を決定。原発ゼロをめざす県内各地の運動をつないで今年9月、4年ぶりの全県大集会の開催をめざすなど、再稼働を阻止する新たなたたかいが始まっています。
根強く続く世論
「福島を見れば分かるように、原発は一たび事故が起これば、生業(なりわい)も絆も、人生を根こそぎ奪っていく」―。2012年から新潟駅前で毎週続く「なくそう原発・新潟市民ネット金曜日行動」に参加してきた佐藤範子さんが語ります。行動は昨年12月23日で483回になりました。AKB48「ヘビーローテーション」の曲調に合わせた替え歌が繁華街に響き、道行く中学生も手を振るなど、再稼働に反対する世論が根強く続いています。
佐藤さんは「政府は『原発は安心・安全、クリーンだ』と宣伝し、私も信じてしまった。原発をなくすまで頑張りたい」と語ります。
県中部の長岡市でも、毎月11日にスタンディングが行われています。主催する「原発ゼロ長岡市民ネット」代表世話人の小山洋司さんが、市役所などが入る複合施設前で、「長岡市は柏崎刈羽原発から30キロ圏内に位置します。地震や豪雪などの複合災害時には、道路の寸断や大渋滞で安全な避難はできなくなる。そんな状況で原発の再稼働は許されません」と訴えました。
「市民ネット」世話人の馬場信子さんは、「原発事故までは政府や東電の言うことをうのみにしていたが、事故が起きたときに体が壊れるかと思うくらいの衝撃を受けた」と運動を続ける理由を話します。
廃炉決まるまで
新潟県では、新潟市や長岡市を含め16市町村で脱原発をめざす運動が続いています。この運動をつないで9月に、1100人超を目標に全県と長野や群馬の団体も参加する「なくそテ原発・柏崎大集会」の開催をめざしています。
「岸田首相は政府が前面に立って再稼働を進めると宣言したが、福島の事故を無視した姿勢に怒りしかない」と話すのは、同集会実行委員会の上野邦雄事務局長。「廃炉が決まらない限り安心して生活できない。原発問題は県政、野党共闘の中心課題だ。各地のいっせいスタンディングや大集会を実施するなど、再稼働を止め、廃炉に追い込むために全力で取り組みたい」
正念場となるせめぎあいに臨みます。(鈴木平人)
(「しんぶん赤旗」2023年1月6日より転載)