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原告「原発被害今も」・・いわき市民訴訟 最高裁判決を批判

法廷に向かう原告・弁護団=4日、仙台市

 東京電力福島第1原発事故の避難指示区域外の福島県いわき市民が国と東電に損害賠償を求めた「いわき市民訴訟」控訴審の第3回口頭弁論が10月4日、仙台高裁でありました。小林久起裁判長は次回11月29日で結審の予定と述べました。

 原告側弁護士は、水産、観光業など市民生活への被害が原発事故直後だけでなく長期間続いていると主張。事故に関し国の責任を認めなかった6月の最高裁判決に看過しえない問題点があると述べました。

 最高裁判決が、2002年の政府地震調査研究推進本部「長期評価」の信頼性や、敷地の高さを超える津波の予見可能性の有無、予見可能となった時期について何ら判断を示さず、防潮堤を設置しても事故が起きた可能性があると「結果回避可能性」に触れただけだと指摘。「諸事情を総合的に考慮して国家賠償法上の違法性を判断する従来の判断過程から完全に逸脱する」と批判しました。

 防潮堤完成に長期を要するが、短期でできる津波対策「水密化」について同判決が何ら判断していないことなども挙げ、一審同様に規制権限不行使の国の責任を認めるよう強く求めました。

 原告・弁護団は仙台市内で開いた報告集会で声明を発表。「最高裁判決では決着がついていない」とし、高裁勝訴、世論の広範な支持を得るために全力をあげると表明しました。

(「しんぶん赤旗」2022年10月05日より転載)