東京電力は8月4日、福島第1原発事故で発生する放射能汚染水を処理した後の高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水(アルプス処理水)を薄めて海に放出するのに必要な設備の建設工事を開始したと発表しました。
開始したのはアルプス処理水を測定する設備などの配管の敷設工事や、シールドマシンを使った海底トンネルの掘削。
計画では、敷地内のタンクにためているアルプス処理水に含まれるトリチウム濃度を国の基準の40分の1未満になるように海水で薄め、新設する海底トンネルを通じて沖合約1キロで放出します。
東電によると、アルプス処理水をかき混ぜて均一化し、トリチウムとそれ以外の放射性物質を測定・分析する設備や、海水で薄める希釈設備などから工事を開始し、放出前の希釈状況を確認する水槽は12月からつくる予定。海底トンネルの掘削作業は24時間体制で行うといいます。
東電は設備全体の完成時期について来年春ごろをめざしているものの、海底トンネル出口など海域の工事が海上気象の影響を受ければ、夏ごろに遅れる可能性があるとしています。
(「しんぶん赤旗」2022年8月5日より転載)