原子力規制委員会は13日、核セキュリティー(核物質防護)上の不備が相次ぎ、規制委による追加検査が行われている東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設(特重)」の設置計画に関し、新規制基準に適合するとの審査書を了承しました。
福島第1原発事故を起こした東電福島第1原発と同じ沸騰水型原発で特重の審査書案を取りまとめたのは、日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)に続き2例目。経済産業相、原子力委員会に意見を聴取した後、正式に決定します。
柏崎刈羽原発では、他人のIDカードを用いた中央制御室への入室や侵入検知装置が故障したまま放置されるなど核物質防護の不備が相次ぎ発覚し、規制委は昨年4月、事実上の運転禁止を命令しました。
現在、東電が昨年9月に提出した改善措置計画に基づいて、規制委が追加検査を続けています。
特重は、新規制基準で設置が義務付けられており、航空機衝突などを想定し、遠隔で原子炉を操作する緊急時制御室や非常用の注水設備、電源などが含まれます。
規制委の更田豊志委員長は、過去の会見で「核物質防護に対する姿勢そのものが問われている段階」で、特重について「大きな判断をすることは考えにくい」と答えていました。
この日開かれた規制委の定例会では、ほとんど議論はありませんでした。傍聴席からは「東電に原発を動かす資格はありません」などの声が上がりました。
(「しんぶん赤旗」2022年7月14日より転載)