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東電旧経営陣に賠償命令 過失認定13兆円超・・東京地裁 「福島原発事故防げた」

東京地裁前で「株主勝利」を喜ぶ原告ら=13日、東京都千代田区

 津波対策を怠ったために東京電力福島第1原発事故が防げなかったとして、東電株主38人が、東電の旧経営陣5人に、東電に対する22兆円の賠償を求める株主代表訴訟で7月13日、東京地裁(朝倉佳秀裁判長)は勝俣恒久元会長ら4人の過失を認め、計13兆3210億円を東電に支払うよう命じる判決を言い渡しました。朝倉裁判長は「津波対策を取れば事故を防げた可能性は十分にあった」と判断しました。裁判の賠償額としては国内史上最高とみられます。

 判決は、原発事故が発生した場合、国民の生命、身体、財産上の甚大な被害を及ぼし、「ひいては我が国そのものの崩壊につながりかねない」と指摘。原発事業者に対して「過酷事故を万が一にも防止すべき社会的ないし公益的義務がある」としています。

 国の機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」について科学的信頼性を有する知見と認定。その上で、長期評価について武藤栄元副社長が、土木学会に検討を委託した決定は一定の合理性があったと判断。一方、土木学会の見解が示されるまでの間、津波対策を速やかに講じるよう指示をしなかった判断は「著しく不合理であって、許されない」と指摘しています。

 また、大規模な防潮堤以外に建屋の水密化等の対策を容易に着想し実施できたとし、水密化等の対策で重大事故に至ることは避けられた可能性は十分あったとしています。

 賠償を命じられたのは武藤氏、勝俣氏、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長の4人。賠償責任を認めなかった小森明生元常務を含めた5人について、長期評価等の見解等を認識しながら、武藤氏の判断を了承し、最低限の津波対策を速やかに実施するよう指示しなかったことは、善管注意義務(善良な管理者の果たすべき注意義務)を怠ったと批判しています。

 小森氏については常務取締役となり津波試算結果等を認識した時期を10年7月ごろとし、水密化等の対策が2年程度かかることから事故との因果関係を否定し賠償の対象としませんでした。

 請求額のうち、東電の支出が確定した廃炉費用約1兆6150億円、被災者への賠償額約7兆834億円、除染費用など約4兆6226億円を賠償額として認めました。

(「しんぶん赤旗」2022年7月14日より転載)