青森県内の、核燃料サイクル施設の立地・周辺地域以外の25市町村は、電力業界からの“原発マネー”による巨額の寄付金を今年度限りで打ち切り、来年度以降は要請しないことを10月28日、正式に明らかにし、これに代わる制度を県が創設するよう求めました。
この寄付金事業は、「原子燃料サイクル事業推進特別対策事業」(特対事業)。電力会社10社でつくる電気事業連合会(電事連)と日本原燃からの寄付金を、県の「むつ小川原地域・産業振興財団」(むつ財団・県が電事連からの資金提供と日本原燃からの利子補てんを受けて設立)を経由して、県内の核燃料サイクル施設の立地・周辺地域以外の25市町村に地域振興策として支給してきたものです。20年間の寄付金の総額は約130億円にのぼります。
特対事業は、原発・核燃料サイクル施設立地・周辺地域の自治体に注がれる国からの「電源3法交付金」とともに、県内自治体を原発・核燃料サイクル政策に縛りつける役割を果たしてきました。
しかし、東電福島第1原発事故後、電気料金を原資とする寄付金には世論の批判が予想され、来年度以降の継続は無理とみられていたものです。
県市長会の鹿内(しかない)博会長(青森市長)と県町村会の舘岡一郎会長(板柳町長)が同日、三村申吾青森県知事に面会し、この寄付金事業に代わる新制度を県が創設するよう求める要望書を提出しました。
三村知事は「これまでの全県的な地域振興策として、この事業が貢献してきた」と要望の趣旨を受けとめましたが、「県の財政状況を勘案しながら総合的に判断したい」とのべて回答を留保しました。
原発依存脱し県・国は振興策を・・共産党青森県議団 諏訪団長コメント
県市長会長、町村会長と県知事の面会をうけ、日本共産党の諏訪益一県議団長は次のようにコメントしました。
県が「むつ財団」を設立して、県全体で核燃料サイクル施設や原発施設への理解と協力を推進させる目的で、事業を始めたことを忘れてはいけません。「3・11」以降、原発の安全神話は崩壊し、原発が人間と共存できないことは、多くの国民が理解しています。電気料金を原資とする核燃・原発マネーに依存できないと判断した市長会・町村長会が県に要請しただけで、立地を受け入れ、原発と核燃料サイクルを推進してきた県の自業自得というほかありません。市町村会の要望は、未来のない原発マネーに縛られた地方政治の破たんの表れです。
県民の安全を一番に考え、原発・核燃料サイクル政策から撤退するとともに、健全な財政の中で地域振興策がとれるよう、県と国が支援していくべきです。