11月2日、福島市内で聞かれた「なくせ! 原発安心して住み続けられる福島を! 11・2ふくしま大集会」。主催者と呼びかけ人のあいさつ、連帯あいさつの要旨を紹介します。
主催者あいさつ
全廃炉は県民の総意
楢葉町・宝鏡寺住職 早川篤雄さん
東電福島原発の大事故から2年8ヵ月たちました。いま毎日大量の汚染水がたまり、海に流れ出ています。大事故を起こした国の責任で一刻も早く解決すべきです。四つの原子炉がどうなっているのか、原子炉を突きぬけた大量の燃料棒がどうなっているのか、いまだに分かってないのです。原因が明らかにならない深刻な状態が続いています。
15万人を超える避難者は、古里に戻れるのか、生活の立て直しができるのか、まったく先が見えない不安な毎日を暮らしています。原発から15キロ圏内に住んでいた私もその一人です。
福島の原発事故は人災です。国策だといって原発を推進してきた政府と東電によって起こされた最大にして最悪の原発公害です。その責任は完全に賠償させなければなりません。県内10基の原発の廃炉は、県民の総意です。
福島の深刻な状況を全国のみなさんに知ってもらい、なくせ原発の声を福島で、そして全国で実現するまでたたかいましょう。
呼びかけ人あいさつ
母ちゃんは負けない
JA福島女性部協議会会長 大川原けい子さん
福島県会津で米と野菜をつくっている農家の母ちゃんです。原発事故は農家にとって大問題で、事故の年は何もかもつらい日々でした。
しかし、原発におびえてばかりはいられません。私たちは、学び合い、農産物の放射能検査を続け、風評被害の払拭のために各地を訪ねています。「頑張ってよ」という声を受けるようになっています。
その矢先、政府は、農業を壊すTPP(環太平洋連携協定)の交渉参加を表明しました。また大きなショックを受けました。私たちは、TPPには断固反対で臨んでいます。
政府が今やることは被災地の復興以外なにもないはずです。原発を輸出して、つらい思いを他の国の人に味わわせてほしくないのです。安心して暮らせる福島をめざして頑張っていきます。
連帯あいさつ
「収束宣言」撤回を
福島県浪江町町議会議長 小黒敬三さん
津波による行方不明者の捜索を原発事故のため中止せざるをえず、全町避難して2年8ヵ月。家、田畑がますます荒廃し、震災関連死がいまだ増え続けています。
復旧復興、完全賠償による生活再建、災害復興住宅による住環境改善が進んでいません。それは国と東電が現場の痛みを受けとめず行動が遅いからです。そもそも「収束宣言」は、ウソです。もってのほかです。汚染水がぼんぼん出ています。この認識を変えてほしい。リセットしなくてはならないのです。
福島第1原発の中がどうなっているかもわからないまま、事故原因の検証もせず、再稼働はもってのほかです。「再稼働反対、全基廃炉」は福島の総意です。まったくの常識です。
賠償の矮小化、自殺や関連死など、原発事故の影響は非常に大きい。しかし、声を出し続けないと、事故がなかったことにされてしまうのではない
か。ぜひ声を出し続けていきましょう。
原発ゼロの実現へ 首都圏反原発連合 ミサオ・レッドウルフさん
毎週金曜日に首相官邸前で抗議を続けて、1年半以上になります。去年の夏は10万、20万の人が官邸前にあふれました。現在も2000から5000人が全国各地から参加しています。
私たち反原連は収束宣言の撤回が大切と考え、政府にも要請してきました。デモなどで「原発いらない」というみなさんの意思を可視化して示していくことが、原発を続けていこうとする一部の人たちには、すごい圧力になります。一刻も早く原発ゼロヘ政策転換させ、被害にあったみなさんが生活できるような政治を、全国みんながつながり、政府に突き付けて、実現させたいと思います。
市民の声あげよう
福島県弁護士会副会長 槇裕康さん
「被災者」ではない、「被害者」だと考えて出発し、法的支援、完全賠償で動いてきました。
弁護士会として救済センターをつくり、未請求者をなくすなど、努力してきました。しかし、個別の弁護活動だけでは無理です。
政治の力が大きいと思います。それを動かすのは、市民の声です。監視の目を光らせ、声をあげていくことが大事です。
首長がメッセージ
集会では、民主党福島県総支部連合会特別常任幹事の金子恵美さんも連帯あいさつしました。
また集会には、桜井勝延(南相馬市長)、三保恵一(二本松市長)、押山利一(大玉村長)、松本幸英(楢葉町長)、伊澤史朗(双葉町長)、馬場有(浪江町長)、古川道郎(川俣町長)、太田久雄(国見町長)の各氏ら自治体首長をはじめ、150を超える団体・個人からメッセージが寄せられました。
なくせ!原発 ふくしま大集会・・多彩な企画 参加者交流
福島市で11月2日に開かれた「なくせ! 原発 安心して住み続けられる福島を! 11・2ふくしま大集会」では、さまざまな企画が取り組まれ参加者が交流しました。
多彩な企画 参加者交流・・再生エネルギー 地域循環がよい
集会では、自然再生エネルギーを普及する取り組みが紹介されました。
福島県内の農家の雑種地に太陽光パネルを設置し、今年9月から50キロワットの売電を開始した「福島りょうぜん市民共同発電所の取り組みは、パネルを展示。設置費は63人の出資者でまかない、農民連の会員が草刈りをおこなうとの展示に、参加者は「こんなことが広がればいいね」と見ていました。
「太陽光発電、なんでも相談会」では、「太陽光電池をいつ設置するのが得か」などの質問が。同県二本松市の業者、大坪清悟さんは、太陽光発電の買い取り価格低下や自治体の補助金削減の心配があると説明しながら、「原発でなく、地域にお金が回る自然エネルギーが一番よい」と話していました。
原発賠償相談・・請求が断られた
原発事故の賠償相談コーナーでは、弁護士が原発事故の避難者らの相談に対応しました。
避難先の借り上げ住宅が元の住宅より手狭なため、物置を購入し東電に請求したが断られた事例や、事故前から福島県で生活実態があったのに住民票がないために賠償が認められなかった事例、避難先で新たに購入した土地をめぐるトラブルなどの相談に弁護士が丁寧に応じました。
対応した藤原泰朗弁護士は「原発事故の問題は、子どもや孫など先の世代にもかかわります。将来世代のためにも、私たちが頑張らなくてはという気持ちで取り組んでいます」と語りました。
東京電力からの賠償金非課税を求める署名も行われ、400人以上から署名が寄せられました。
共産党のテント・・幾重にも人垣が
日本共産党福島県委員会はミニトークライブを開きました。国会や福島での共産党の活動が、住民を励まし、政治を動かしている話に、テントのまわりは幾重にも人垣ができました。
高橋ちづ子衆院議員と宮本しづえ県議が「大震災・原発事故から2年7カ月、福島を取り戻すたたかいのいま」、笠井亮衆院議員(党原発・エネルギー問題対策委員会責任者)と神山悦子県議が、「原発事故・汚染水問題解決の展望」を語りました。
宮城県塩釜市から来た保育士の長沼千恵さん(63)は、「共産党が多くの人たちと手を組んで、原発なくせの運動がオール福島で前進していることがよくわかりました。ぜひ、がんばってほしいですね」と話しました。
避難者交流テント・・豆腐ドーナツも
南相馬市、楢葉町、二本松市、浪江町から避難している人たちが手作り菓子や小物、地元料理や無農薬野菜などを販売した「避難者の交流テント」。「これはどうやって作ったの」などと、にぎやかな声が飛び交いました。
楢葉町からいわき市に避難している障害者作業所「ふたばの里・りんべるハウス」では、いわき産大豆を使った揚げたての甘く香ばしい豆腐ドーナツが大人気でした。
二本松市で40年前から有機農業に取り組む大内信一さん(70)の野菜も並びました。原発事故後、消費者が6割減ったといいます。「すべての野菜を検査しています。検査料には補償がありますが、野菜を刻んだり手間がかかります。大変ですが、安全でおいしいものをつくりたい。若い農家と一緒にこの土地でがんばっていきたい」